従業員数50名以上の事業場では産業医の選任が義務づけられています。
コロナ禍の昨今は、これまで以上にフィジカルについても大きな課題点として衛生管理に取り組んでいる企業が増えてきています。
また、これに伴い在宅での勤務を取り入れる、推奨する企業が急激に増えており、産業医業務を遠隔で行っている企業が増加しました。
産業医業務の遠隔での実施方法を再度見直そう
2021年3月31日付で厚生労働省から「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」が公表されました。
「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」をもとに、産業医業務を遠隔で行う際の留意点をわかりやすく解説します。
産業医業務を遠隔実施する際の留意点
まず、前提として産業医は、労働者の健康保持のための措置、職場環境維持の管理、衛生教育等、医学に関する専門的知識を必要とする職務を担っており、遠隔実施の場合でも、このような産業医業務が問題なく、円滑に行えることが必須です。
情報通信機器を用いた場合にも差し支えなく産業医の職務が行えるよう以下を留意しましょう。
従業員に周知しましょう
産業医業務の内、どの職務を遠隔で行うのか、毎月の衛生委員会で話合い、決定事項を従業員に周知しましょう。
合わせて遠隔で行う際に企業として気を付けること(個人情報の取り扱いや、面談の実施の流れ等)、従業員が気を付けること(面談実施前の事前情報提供等)なども周知するのが望ましいでしょう。
環境を整えましょう
遠隔であっても産業医には随時必要な情報を提供できるような環境を事前に作っておきましょう。
必要に応じて産業医が従業員の職場環境を確認したり、直接の面会、訪問が必要であると認めた場合には臨機応変に実地訪問、ならびに現状確認したりできる環境を整えましょう。
医療機関と連携をとれる環境を作るのも重要となります。
使用する情報機器
従業員や産業医が、容易に利用ができるよう工夫をしましょう。
また面談を行うときには途中で通信が途切れないよう、通信状況が安定していることを事前に確認をしたうえで実施するのが望ましいでしょう。
遠隔でも相互の意見交換が問題なく行えるよう考慮する必要があります。
内容に応じて遠隔、実地対応、どちらも臨機応変に使いましょう
現状として、内容にかかわらず遠隔での産業医対応に限定をしている企業もあるのではないでしょうか。
昨今の現状として致し方ない点もあるかと思いますが、産業医の業務内容に合わせて遠隔で行うべきか、実地にて行うべきか、望ましい方法を選択できる環境の構築を進めていくことも必要です。
たとえば労災が起こったときには、職場の環境を視覚や聴覚だけでなく、臭いや皮膚への刺激、感触等で情報収集を行うことが望ましい場合が多くあります。
メンタル不調者の面談においても実際の声色や表情を直接対面で確認するほうが望ましい場合も想定されます。
産業医選任の目的をもう一度見直し、医学的知見も踏まえ、産業医の判断をもとに情報通信機器をうまく活用しながら従業員の健康管理を行いましょう。
<参考>
基発331第4号「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」