新型コロナウイルス感染症の拡大で、多くの企業が新しい働き方を取り入れていますが、正社員以外の雇用形態の従業員を尊重した対策、手段を選択できているでしょうか。
派遣労働者契約の更改
新型コロナウイルス感染症の影響で、派遣労働者が「明日で派遣を終了する」と告げられ、派遣元から「次の仕事がない」と伝えられる事例も発生しています。
年度末を迎え、労働者派遣契約の更新が多く行われますが、その際に契約の不更新のが多数発生が危惧されるため、2021年1月14日、厚生労働省は、関係団体に対して「新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等に関する要請について」を発出しました。
新型コロナウイルスに係る派遣労働者の雇用維持に関する要請
本要請書の重要なポイントは以下の通りです。
① 契約更新の推奨:派遣労働者契約の更新を、安易に見送るのは控える。来年度に向けて派遣労働者の個人の能力を最大限に活用することを重点に置き、可能な限り労働者派遣契約の更新し、引き続き就業環境を設けることが最も望ましい。
② 新たな就職先の確保:やむを得ず労働者派遣契約を解除や不更新を行う場合でも、派遣労働者がその後の就業への影響を最小限に抑えるため、関連会社や、派遣元と協力をしながら派遣労働者の新たな就職機会の確保を図ること。
③ 住居の配慮:派遣労働者の生活の激変を緩和するため、社員寮等に入居している労働者については離職した場合も引き続き一定期間の入居についてできる限りの配慮を行う。
雇用形態が異なる場合でも、全従業員にそれぞれの生活があることを十分に理解したうえで雇用維持の判断をすることが重要です。
本要請の通り、契約更新をすることを第一優先として検討をする必要がありますが、やむを得ず契約の解除や不更新をする際には、法令に基づいて対応をすることはもちろん、契約更新の可否についてできるだけ早く予告したり、契約終了までの残りの勤務時間中にメンタル面の十分なフォーローや、今後に活かせるスキルを習得させたりと、派遣労働者に最大限の配慮をすることが重要でしょう。
派遣労働者他、雇用形態によっての待遇差
契約の更新や解除のみにとどまらず、新型コロナウイルス感染症の影響で、雇用形態による待遇の差別が生まれているケースが珍しくないようです。
たとえば在宅勤務や時差出勤の対象か否か、特別手当や見舞金の対処か否か、などが挙げられます。
在宅勤務の目的は、労働者を感染から守ることです。
感染予防の必要性は、雇用形態によって差が生まれるものではありません。
そのため派遣労働者やパート、アルバイトにだけ在宅勤務や時差出勤を認めないのは不合理だといえるのです。
また、出勤手当や休業手当に関しても、雇用形態によって支給の有無などの待遇差がないよう、企業は配慮する必要があります。
新型コロナウイルス感染症によって企業は多く課題を突き付けられている状態ですが、雇用形態関わらず、従業員を守っていく義務があることを改めて認識をする必要があるのではないでしょうか。