働き方改革法の概要は、「働き方改革法が成立!本改正の3つのポイントとは?」でご紹介しました。
なんとなくしかわからないけど、残業規制が厳しくなるんでしょ?
そう思っている方、他にも企業の皆様に関わる法改正があるんです。
今回は、長時間労働者への医師の面接指導に関する法改正についてご紹介したいと思います。
長時間労働者への医師面接基準がより厳しく
従来は、1ヶ月あたりの残業時間(注)が100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者が申し出た場合に医師よる面接指導を実施することとなっていましたが、働き方改革法の施行で残業医時間の基準が100時間から80時間に強化されました。
<面接の流れ>
赤字が変更点です。
① 事業者がすべての労働者の労働時間の状況を把握
※ガイドラインから法律に格上げ
② 事業者が産業医に残業時間80時間/月超の労働者の情報提供
※省令から法律に格上げ
※残業時間の基準を100時間/月超→80時間/月超に強化
③ 産業医が情報を元に労働者に面接指導の申し出を勧奨
④ 残業時間80時間/月超の労働者が事業者に面接指導の申し出
※残業時間の基準を100時間/月超→80時間/月超に強化
⑤ 事業者が医師による面接指導を実施
⑥ 事業者が医師から労働者の措置等に関する意見を聞く
⑦ 事業者が医師の意見を踏まえて必要な措置を講じる
⑧ 事業者が産業医に措置内容を情報提供
※新規
⑨ 措置状況を確認した産業医が労働者の健康確保に必要があると認める場合は事業者に勧告
⑩ 事業者が産業医の勧告内容を衛生委員会に報告
※新規
研究開発業務にはより厳しく
今回の改正で、新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務に従事する労働者に対しては、1ヶ月あたりの残業時間(注)が100時間を超えた場合には申し出の有無を問わず、必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととなりました。
またこの定めについては面接指導を行わない場合、罰則(50万円以下の罰金)の対象にもなる為注意が必要です。
労働時間の把握が明記
今回の面接指導の強化に伴って、2019年4月以降、事業者は労働者の労働時間の状況の把握も求められます。
<労働安全衛生法>
第六十六条の八の三 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。
今までも労働時間の把握については再三言われてきたため、知ってるよと思った方もいるかもしれません。
実は労働時間の把握についてはガイドラインが発表されていましたが、今までは法律上には記載されていませんでした。
初めてガイドラインから法律に格上げされたことによって、より厳しい管理が求められることが予想されます。
今回の面接指導に関する法改正について産業医がいないからうちは関係ないと思ったら大きな誤りです。
使用する労働者の数にかかわらず、すべての事業者が対象となります。
2019年度の施行まで、残り数か月となりました。
少しずつできるところから準備をすすめていきましょう。
(注)ここにおける残業時間とは休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間