潜在保育士の人数、知っていますか?

1996年以降、専業主婦世帯にくらべて共働き世帯が増え、2014年の段階では1,114万世帯が共働き世帯となっています。
夫婦が働き続けるために必然的に必要となるもの、それは保育園や保育所といった施設です。
2018年にベネッセ株式会社が行った調査によれば、小学4年生~6年生の女子のなりたい職業ランキング第2位、中学生の女子のなりたい職業第1位に、保育士はランクインしています。
なりたいと思う人は多いはずなのに、どうして保育士不足が嘆かれるのでしょうか。

全国の潜在保育士人数

2015年10月の時点で保育士登録者数約119万人、勤務者数約43万人、潜在保育士数約76万人となっています。
潜在保育士とは、保育士の資格は持っていても、保育士として働いていない人材のこと。
この統計によれば、現在保育士として働いている人数の倍近くもの人材が、資格は持っていても保育士の職から離れていることになります。
つまり保育士が不足しているではなく、「保育士として働く人材」が不足しているのが現状なのです。

年齢別在職者でみてみると、以下の通りです。

24歳以下 約9万6千人
25~29歳 約9万5千人
30~34歳 約6万1千人
35~39歳 約4万6千人

年齢が上がるにつれ、保育士の仕事から離れている人員が増えていることがわかりますね。
一体なぜでしょうか?
その理由一つとして、自身の結婚や出産などによる理由が考えられます。
保育士の仕事は休憩時間などもなかなか取れず、残業なども多いため、年齢を重ねるごとに体力が持たなくなっていく、という話も耳にします。
また、子育てなどにより長時間働くことが難しい保育士が、職場にそもそも時短勤務での受け入れが無かったり、収入の低下などを理由に復職をあきらめるとというケースもあります。
何か対策はないものでしょうか……。

短時間正社員という選択肢

保育士の働き方として、短時間正社員を取り入れている所もあります。
短時間正社員とは、他の正規型のフルタイムの労働者と比較し、その所定労働時間(所定労働日数)が短い正規型の労働者で、次の①②のいずれにも該当する者を指します。

① 期間の定めのない労働契約を締結している者
② 時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用される同種のフルタイムの正規型の労働者と同等である者

長時間勤務することが難しいという人であっても、正社員として雇用することで、結婚などで保育の仕事から離れた保育士が戻りやすい環境を作り人材確保を目指すことが求められます。

短時間正社員が注目される理由

保育の現場にかかわらず短時間正社員は現在注目されています。

・育児等、さまざまな事由によって就業時間に制約がある人たちに就業の継続と就業の機会を与えることができる。
・社員が定着しない、人材不足などで困っているという企業の課題解決につながる。
・優秀な人材の確保・有効活用を図る上で、大きな効果が期待できる。

仕事と生活の調和推進のための行動指針(平成22年6月29日仕事と生活の調和推進官民トップ会議決定)によれば、短時間勤務制度を選択できる事業所の割合(短時間正社員制度等) を2020年までに29%まで上げる方針で動いています。
こうしたことにより、潜在保育士がまた、保育の現場に戻ってくることができるかもしれません。
私の友人たちも、保育士資格を取得しているものの体力面や育児との両立が難しく、出産を機に退職し、今は育児に専念している人が多くいます。
育児が落ち着いたら復帰をしたいと思っているようなので、短時間正社員の制度が広まり、ライフスタイルに合わせた働き方が出来ると、潜在保育士も減り、優秀な保育士人材の確保もできるようになってくるのではないでしょか。

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