8月4日は「はしか予防の日」~2026年、大人の感染が急拡大中~

毎年8月4日は、国立感染症研究所などが定めた「はしか予防の日」です。
例年であれば「そういえばそんな日もあったね」で通り過ぎてしまいがちですが、2026年は少し事情が違います。
2026年に入ってから麻しん(はしか)の報告数が急増しており、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の発生動向調査によると、7月22日時点ですでに2025年の年間累計(245人)を上回り、548人の感染が確認されています。
4月には、週あたり60人を超える新規患者が確認された週もありました。
厚生労働省も「2020年以降最多となるペースで感染拡大している」と注意喚起を行っており、今年の「はしか予防の日」は、例年以上に意識しておきたいタイミングと言えるでしょう。
こうした状況を踏まえ、あらためて麻しんについて知り、予防のきっかけとしていただくために、いくつかのポイントを紹介します。

麻しんはなぜこれほど急拡大するのか

麻しんが他の感染症と比べて特徴的なのは、その圧倒的な感染力にあるとされています。
空気感染、飛沫感染、接触感染、いずれでも広がるため、対策のハードルが高いです。
特に、空気感染は距離に関係なく同じ空間にいるだけで感染のリスクがあり、手洗いやマスクをしていても防ぐことが難しいといわれています。
免疫のない人(感染歴や予防接種歴がない人)が感染者と同じ空間にいると、およそ9割が発症するともされており、インフルエンザなどの感染症に比べても感染対策が難しい点において注意が必要です。
さらに厄介なのは、発症前から感染させる能力があり、熱や咳など風邪に似た症状が出る時期こそ最も感染力が強いとされる点です。
発疹が出て初めて麻しんだと気づいた頃には、すでに周囲に感染を広げてしまっている可能性がある、という構造的な難しさがあります。
また、麻しんを疑う症状があるときは、周囲への影響を考えながら慎重に行動することが求められます。
たとえば、受診の際は事前に医療機関へ連絡し、指示に従うこと、公共交通機関の利用をできるだけ避けること、自治体が行う疫学調査に協力することなどがあげられます。
これらは、自身の健康を守るだけでなく、周囲への感染拡大を防ぐためにも重要なポイントです。

「大人はかかりにくい」は、もう昔の話かもしれません

JIHSのデータでは、2026年4~7月までの報告患者のうち8割以上を15〜49歳が占めており、子どもよりもむしろ大人の感染が目立つ傾向にあります。
背景にあるとされるのが、世代ごとの予防接種歴の違いです。
麻しんワクチンは制度上、接種回数の運用が時代によって変わってきており、
特に、2000年4月1日以前に生まれた方は、当時の感染状況もあって2回の定期接種を受けていない可能性があります。
実際の感染者を見ても、接種なし・1回のみ・接種歴不明の方が半数以上を占めています。
つまり、世代を問わず、「自分の接種歴を把握していない」こと自体がリスクになり得ると考えられます。

母子手帳の確認とキャッチアップ接種の検討を

麻しんに対して最も有効とされる予防法は、麻しん含有ワクチン(MRワクチン)の接種です。
自身の発症予防・重症化予防に加え、集団としての感染拡大防止の観点からも、ワクチンを2回接種することが重要とされています。

皆さんは、母子健康手帳などで、麻しん含有ワクチンの接種歴を確認したことはあるでしょうか。
2回の接種記録が確認できる方は、高い予防効果が期待できるとされています。
一方で、記録が確認できない、1回しか受けていない、手帳自体が見当たらないという方も少なくないはずです。
その場合は、2回の接種となるようにキャッチアップを行うことが推奨されています。
一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会「こどもとおとなのワクチンサイト」では、年代別にキャッチアップの必要性をまとめていますので、参考にするとよいでしょう。

また、2回の接種が確認できない方の中でも、海外の流行地域への渡航を予定している場合は、渡航の2週間前までの接種を検討しましょう。

8月4日の「はしか予防の日」を、単なる記念日として通り過ぎるのではなく、母子手帳を開いて自分や家族の接種歴を確認してみる、そんな小さな一歩を踏み出すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 厚生労働省「麻しん(はしか)」
・ 厚生労働省「麻しんの感染拡大防止に向けた国民の皆様へのメッセージ(PDF)」
・ 国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト「麻しん」
・ 国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト「麻疹 発生動向調査 速報グラフ 2026年」

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大石あや株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学卒業後、保健所で保健師として働き、地域住民の方々の健康支援に携わってまいりました。その経験を通じて、特に働く世代の方々の健康に関心を持ち、このたびドクタートラストに入社しました。コロナ禍を経て、多様性が求められる今の社会で、日々を頑張る皆さまに少しでも役立つ情報をお届けしてまいります。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、健康経営アドバイザー

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