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年度初めに腰が痛くなるのは気のせいじゃない|春の腰痛が起こりやすい理由と職場でできる対策
- 2026/4/28
- ドクタートラストニュース, 春

春になると、「腰が重い」「朝起きると腰が痛む」「ぎっくり腰になりそうだった」といった訴えが増える傾向があります。
私自身も以前の職場で、年度初めの環境変化が続いた時期に腰痛が悪化し、コルセットが手放せなくなった経験があります。
実は、春特有の環境変化や生活リズムの揺らぎが、腰痛の誘因となることはあまり知られていません。
腰痛は欠勤や業務効率低下の要因になりやすく、再発を繰り返すことで慢性化することもあります。
年度のスタートを健康に過ごすためにも、この季節の腰痛の特徴と予防策を知っておくことが大切です。
春の腰痛が起こりやすい主な要因
原因① 寒暖差による筋緊張と血流低下
春は「三寒四温」と言われるように、1日の中で10度以上の気温差が生じることが珍しくありません。
私たちの体は自律神経を介して体温を調節していますが、急激な変化に対応しきれないと、自律神経が乱れ、交感神経が優位になり続け、筋肉が防御的に緊張します。
特に腰部は体幹を支えるため筋肉量が多く、冷えや緊張の影響を受けやすい部位です。
筋肉の柔軟性が低下した状態で日常動作や業務負荷が加わると、腰痛の発症リスクが高まります。
原因② くしゃみ・咳による瞬間的な負荷
春は花粉症などにより、くしゃみや咳が増える時期でもあります。
くしゃみの際には瞬間的に腹圧が上昇し、腰部の筋肉に強い負荷がかかります。
筋肉が冷えている状態や、長時間同一姿勢で固まっている状態で起こると、急性腰痛(ぎっくり腰)の引き金になることがあります。
原因③ 環境変化による身体的緊張
異動や業務内容の変更、新しい人間関係など、春は心理的緊張が高まりやすい時期です。
さらに、年度初めは繁忙期にあたる企業も多く、長時間のデスクワークや同じ姿勢での作業が続きがちです。
心理的ストレスは筋緊張を高めることが知られており、無意識のうちに腰回りの筋肉に力が入りやすくなります。
また、席替えにより、机・椅子・PC配置が体に合っていない環境で作業を続けているケースも少なくありません。
腰痛予防のためにできる具体的対策
対策① 体を冷やさない工夫
冷えによる筋緊張は血流低下を招き、痛みを感じやすくします。
腹巻きやひざ掛け、腰を覆う服装を取り入れるだけでも、腰部の冷え予防に有効とされています。
職場としては、空調を一律に管理するだけでなく、個人が調整できる余地を残す環境づくり(服装の柔軟化、ひざ掛けの使用容認など)が重要です。
対策② 座位姿勢の調整と「動くこと」
長時間の座位姿勢は、腰部への負担を増加させることが分かっています。
基本は、椅子に深く腰掛け、骨盤を立てた姿勢を意識することです。
また、足裏が床にしっかり接地するよう、椅子や机の高さを調整することも重要です。
一方で、「良い姿勢」を長時間維持し続けること自体が、筋肉への負担となる場合もあります。
そのため、30~60分に一度は立ち上がる、軽く体を動かすといった行動を取り入れることで、腰部への負荷軽減につながります。
加えて、重い荷物や書類箱などを持ち上げる際には、以下の動作を意識できるとよいでしょう。
1. 近づく:荷物と体の距離をできるだけ近づけ、体から離した状態で持たない
2. 下がる:膝をしっかり曲げ、腰を落として重心を下げる
3. 抱える:腕だけで持ち上げず、体全体で荷物を抱え込むように持つ
腰を曲げて、お辞儀をするように荷物を持ち上げる動作は、腰椎への負担を大きくします。
必ず「腰ではなく膝を使う」ことを意識してください。
また、背中や腰周囲の筋肉の血流を改善し、疲労回復効果が期待できる「これだけ体操Ⓡ」を取り入れることもおすすめです。
職場でのぎっくり腰は、身体反応が低下しやすい午前中(9~11時)や、昼休憩後の14~15時に発生しやすいことが知られています。
そのため、就業前や昼休憩後に予防的に実施すると効果的です。
これだけ体操Ⓡのやり方
① 足を肩幅よりやや広めで、つま先が開かないよう足が平行になるように立ち、お尻に両手を当てる。できるだけ両手を近づけて指をそろえ、すべての指を下に向ける。
② あごを軽く水平に引き、息を吐きながら、踵が浮くか浮かないかくらいのつま先重心でしっかりと骨盤を前へ押し込んでいき、ゆっくり上体を反らしていく。痛気持ちいいと感じるところまでしっかりと骨盤を押す。
③ 両手でしっかり骨盤を前に押した状態で、息を吐き続けながら3秒キープする。ゆっくり元に戻す。
出所:松平浩、川又華代、吉本隆彦「産業保健スタッフのための新腰痛対策マニュアル(PDF)」
職場として取り組める腰痛予防
腰痛は「本人の体の問題」と捉えられがちですが、作業環境や働き方の影響を大きく受けます。
産業保健スタッフや管理職が「腰痛は予防できる不調」であることを発信し、立ち上がりやすい雰囲気づくりを進めることが、生産性低下や休業リスクの軽減につながります。
個人のセルフケアと組織的な環境整備を組み合わせ、新年度を無理なく健康に乗り切るための腰痛対策を進めていきましょう。
<参考>
・ 厚生労働省「腰痛予防対策」
・日本整形外科学会、日本腰痛学会監修「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」


















