
毎年2月17日から23日は「アレルギー週間」、2月20日は「アレルギーの日」です。
アレルギーというと、花粉症や子どもの食物アレルギーを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、近年では大人になってから突然発症する食物アレルギーも増えています。
その背景として注目されているのが、「化粧品による経皮感作(けいひかんさ)」です。
経皮感作ってなに?
経皮感作(けいひかんさ)とは、皮膚から入った成分を、体が「危険なもの(アレルゲン:アレルギーの原因となるもの)」として記憶し、抗体が作られてしまう仕組みのことです。
私たちの皮膚は、外部からの刺激や異物の侵入を防ぐ“バリア機能”を担っていますが、このバリアが何らかの理由で弱くなると、通常であれば問題にならない成分でも体内に入り込みやすくなります。
特に注意したいのは、次のような状態のときです。
<注意したい状態>
・ 肌が乾燥している
・ 痒み、赤み、湿疹、肌荒れがある
・ ストレスや睡眠不足が続いている
皮膚から侵入した成分に対して免疫が反応すると、「抗体」が作られます。この状態を「感作(かんさ)された」といい、いったん感作が成立すると、同じ成分が再び体内に入ったときに、かゆみや腫れ、蕁麻疹(じんましん)、呼吸困難などのアレルギー症状が起こりやすくなります。
重要なのは、最初に抗体が作られる段階では、目立った症状が出ないことも多いという点です。
そのため、「少し赤い」「少し痒い」といった軽い違和感を放置しているうちに、本人が気づかないうちに感作が進み、ある日突然、強い症状として表れることがあります。
化粧品に含まれる成分による食物アレルギーを知ろう
経皮感作の原因のひとつとして、化粧品に含まれる成分が関係する場合があります。
化粧品には、保湿や使用感をよくする目的で、食品由来の成分が使われることがあります。
たとえば、果物エキス、植物オイル、米や小麦由来成分、ナッツ由来成分などです。過去には、小麦由来成分を含む洗顔料を長期間使用したことで、小麦アレルギーを発症した例が報告され、話題になりました。
近年増加傾向にあり、特に注意が必要なのが「コチニール関連色素(コチニール色素・カルミン・カルミン酸)」によるアレルギーです。
コチニール関連色素は、コチニールカイガラムシから抽出された色素成分で、食品(清涼飲料水、菓子類、ハム、かまぼこなど)や化粧品(口紅、アイシャドウなど)、医薬品(カプセル剤)などで使用されていることがあります。
化粧品から皮膚を通じて侵入して免疫が感作されると、後に食品中の同じ色素を摂取することでアレルギー反応を引き起こします。
唇、まぶたなどは皮膚が薄く、化粧品を毎日使用する部位でもあるため、経皮感作が起こりやすいと考えられています。
特に成人女性に多く、症状は唇や瞼の腫れ、蕁麻疹や発疹、呼吸困難などで、救急搬送に至るケースもあります。
「天然成分」「食品由来」「肌にやさしい」と書かれていても、すべての人に安全とは限らない点は知っておきたいポイントです。
まとめ
「少し赤いけど大丈夫」「痒いけど我慢しよう」と、肌トラブルを後回しにしてしまうことは少なくありません。
しかし、肌の不調を放置しないことは、将来のアレルギー予防にもつながるセルフケアのひとつです。
化粧品による経皮感作を防ぐために、日常生活で意識したいポイントをまとめました。
<日常で意識したいポイント>
・ 肌荒れしている時は、新しい化粧品を試さない
・ 洗顔やクレンジング後は、しっかり保湿する
・ 痒みや赤みが続く場合は、早めに皮膚科を受診する
・ 「合わないかも」と感じたら、無理に使い続けない
アレルギー週間は、アレルギーを「特別な人の問題」ではなく、誰にでも起こりうる身近な健康課題として考える良い機会です。
毎日使っている化粧品と、自分の肌の状態を少し意識するだけでも、将来のリスクを減らすことにつながります。
<参考>
・ 公益財団法人日本アレルギー協会「アレルギーの日・アレルギー週間」
・ 国立研究開発法人国立成育医療センター「アレルギーについて」
・ 藤田医科大学医学部アレルギー疾患対策医療学講座「経皮感作による食物アレルギー」
・ ホーユー株式会社「~成人女性に多い突然のアナフィラキシー~コチニールアレルギー症例の実態と診断・指導」

















