有給取得率66.9%で過去最高も、産業別に見ると最大24.5ポイントの格差──令和7年就労条件総合調査

2025年12月19日、厚生労働省は令和7年(2025年)「就労条件総合調査」の結果を公表しました。
本調査の対象は、常用労働者30人以上の民営企業で、2025年1月1日現在の状況などについて1月に調査を行い、3,820社から有効回答を得ました。
この調査結果のから「所定労働時間や働き方」と「年間休日や有給休暇制度」についてスポットを当てて、働き方の現状とどのような傾向があるかを解説していきます。

所定労働時間や働き方

所定労働時間

1日の所定労働時間は平均7時間49分(令和6年(2024年)調査7時間47分)、週の所定労働時間は平均39時間24分(同39時間23分)と横ばいです。
注目したいのはこれを産業別にみると「金融業、保険業」が38時間12分で最も短く、「宿泊業、飲食サービス業」が40時間2分で最も長くなっていることです。

変形労働時間制

変形労働時間制とは、週や月、年など一定期間内で、労働時間を柔軟に調整できる制度です。
その期間の合計労働時間が法律の基準内であれば、日によって働く時間に差があっても認められます。
フレックスタイム制度と似ていますが「労働時間の決定権が企業側にある」点が大きな違いです。
この制度を適用している企業割合は60.2%(令和6年(2024)年調査60.9%)となっており、これを企業規模別にみると「1,000人以上」82.7%、「300~999人」76.1%、「100~299人」が68.1%、「30~99人」55.3%となっています。
また、変形労働時間制の種類(複数回答)別にみると「1年単位の変形労働時間制」30.3%、「1カ月単位の変形労働時間制」26.4%、「1週間単位の非定型的変形労働時間制」1.1%、「フレックスタイム制」8.3%となっています。
労働者確保のために多様な働き方を推進しようと企業がフレックスタイムを導入していたとみられます。

変形労働時間制の適用を受ける労働者割合は50.5%(令和6年(2024年)調査52.3%)となっており、 これを変形労働時間制の種類別にみると「1年単位の変形労働時間制」15.7%、「1カ月単位の変形労働時間制」23.5%、「1週間単位の非定型的変形労働時間制」0.2%、「フレックスタイム制」11.1%となっています。
企業の制度として導入を進めているものの、実際に適用可能な労働者は少なかったのかもしれません。

年間休日や有給休暇制度

年間休日総数

令和7年(2025年)調査における令和6年(2024年)1年間の年間休日総数の企業平均は112.4日(令和6年(2024年)調査112.1日)、労働者 平均116.6日(同116.4日)となっており、いずれも昭和60年(1985年)以降最も多くなっています。
企業平均年間休日総数を企業規模別にみると「1,000人以上」117.7日、「300~999人」116.2日、「100~299人」114.5日、「30~99人」111.2日となっています。
細かいテーブルでは減少したものの、「企業平均年間休日総数」「労働者平均年間休日総数」は微増しています。

年次有給休暇

令和6年(2024年)に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く)をみると、労働者平均は18.1日(令和6年(2024年)調査16.9日)、このうち労働者が取得した日数は12.1日(同11.0日)と昭和59年(1984年)以降最も多くなっており、取得率は66.9%(同65.3%)と昭和59年以降最も高くなっています。
取得率を産業別にみると「電気・ガス・熱供給・水道業」が75.2%と最も高く、「宿泊、飲食サービス業」が50.7%と最も低くなっています。

さいごに

働き方に関する意識は時代とともに変化しており、近年は「生活に対応した柔軟な労働時間」や「休日を確保しやすい環境」を重視する傾向が強まっているとみられます。
その背景には、正社員の長時間労働が常態化していたことに対する課題認識やワーク・ライフ・バランスの悪化、過重労働による健康面・生産性面への影響が指摘されてきたことがあり、企業による「働き方改革」の推進が一定の影響を与えていると考えられます。

特に、労働者1人当たりの年次有給休暇取得率は年々上昇しており、健康的に働き続けるためには「適切に休むこと」が重要であるという意識の高まりを受け、企業側も有給休暇を取得しやすい制度設計へと見直しを進めている可能性があります。
さらに、人口減少や人手不足が深刻化する中で、女性や高齢者の就業が拡大し多様な人材が活躍できる就労環境の整備がより一層求められています。フレックスタイム制度や特別休暇制度を導入する企業が増えているのも、こうした社会的背景があるといえるでしょう。

一方で、産業別に見ると労働環境の改善状況には依然として差が生じているのが現状です。

「産業保健新聞」運営元のドクタートラストが発表した「健康リスクが高いのは「運輸業・郵便業」、「医療・福祉」、「宿泊業・飲食サービス業」」では、「宿泊業、飲食サービス業」においては高ストレスと判定される割合が高く、所定労働時間の長さがその一因となっている可能性も考えられています。
今回示されたデータも参考にし、現場の実態を労働者の視点から適切に反映できる仕組みを整え、企業がそれを真摯に受け止めることで労使間の相互理解を深めていき、健康で長く働ける職場を作り上げていくことが重要だと感じました。

本内容が「働きやすい職場づくり」を考える上で、ひとつの参考となれば幸いです。

<参考>
・ 厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査」
・ 公益財団法人NIRA総合研究開発機構「「働き方改革」その成果と行方」
・ 株式会社ドクタートラスト「健康リスクが高いのは「運輸業・郵便業」、「医療・福祉」、「宿泊業・飲食サービス業」」

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伊藤アリサ株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

服飾デザイナーを経験した後、WEBデザイナーとして仕事に携わっていました。デザイナー業を長く経験していくうえで働く環境の大切さを強く感じ、健康経営の良さを世の中の働く方々に知っていただくお手伝いがしたいと考え、ドクタートラストに入社いたしました。みなさまが元気で健康な日々を送れるようなお役立ち情報を発信していきます!

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