
寒い時期は特に風呂や温泉が恋しくなる方も多いのではないでしょうか。
日本にはお風呂を単に身体を洗うだけの場ではなく、心身をリラックスさせる場としての文化があります。
実際に、入浴後にストレス・緊張・不安・怒り・抑うつ気分が低下するという研究結果や、65才以上の高齢者では浴槽入浴の頻度が高い人ほどうつ発症のリスクが低いという報告もあります。
ここ1、2年で風呂キャン(風呂キャンセル界隈)という言葉が流行り、お風呂が面倒くさい、疲れているから入る気力がないという人に注目が集まりました。
背景に精神的不調が潜んでいる可能性も指摘されていますが、ストレスが大きく疲れているときこそ、ポイントを押さえて「お風呂に入る」という行動を味方につけると、結果的にメンタルヘルスにも良い影響を与えることができます。
入浴することのメリット
そもそも湯舟に浸かることがなぜ身体に良いのかというと、「身体全体に均等に水圧がかかる効果」です。
これはシャワーでは得られません。
この水圧により血管がマッサージされるように刺激され、血液やリンパの流れが促進され血流が良くなります。
さらに、浮力も得られるため、体を支えるために力が入っている筋肉や関節のこわばりが緩み、血流も良くなり疲労感が軽減されます。
また、胸にも水圧がかかるため自然とゆっくり深い呼吸になります。
これにより、自律神経のうち副交感神経(リラックスモード)が優位になり、不安・緊張・イライラが軽減されると考えられるのです。
お湯の温かさや心地よさ、解放感といった心理面からも安心感が得られてストレス緩和につながります。
メンタルヘルスケアのための入浴法
お湯の温度と時間を大切に
42℃以上の熱いお湯は、交感神経(活動モード)を刺激してしまうため、逆に緊張感が高まり眠りにくくなってしまいます。
38~40℃くらいのぬるめに感じる温度で15~20分を目安に浸かると、副交感神経が優位になり気持ちが落ち着きやすくなります。
呼吸を意識する
水圧により自然と呼吸がゆっくりになるとお伝えしましたが、呼吸に意識を向け、モヤモヤした気分や、頭の中でグルグル巡っている嫌な考えを「ふぅー」と外に吐き出すようなイメージをすると、ネガティブな考えから距離をとって「今ここ」に戻ってくることができます。
炭酸入浴剤を活用する
お湯にとけた炭酸ガスが皮膚から吸収され血管を広げてくれる効果があるため、血流が良くなり疲労物質を排出し、睡眠の質が向上する効果が知られています。
睡眠の質が向上すると、脳がしっかり休息でき、不安や抑うつが低下するため間接的にメンタルケアにもつながります。
入浴できない時や、入浴が苦手な場合
怪我や病気などの事情で入浴できない場合や、どうしても入浴することが苦手という方は、手浴もメンタルヘルスにプラスの効果があるのでおすすめです。
洗面台や、ボウルに38~42℃くらいのお湯を入れて5~10分ほど手を浸すという簡単な方法です。
末梢血流が増え体温が上昇し、副交感神経が優位になり、緊張やストレス状態を和らげる可能性が示唆されています。
ちなみに、湯舟に浸かる文化がない国もありますが、シャワーはあくまで体を清潔にする行為で、リラックスは別の行動で得ると分けていたり、湯舟の代わりの温熱文化としてサウナ、蒸し風呂、蒸気浴などが発達している国もあるようです。
日本には家のお風呂のほかにスーパー銭湯や温泉地も数多くありますので、上手に活用しながらセルフケアを行っていきましょう。
<参考>
東京都市大学「毎日お風呂に入っている人でうつ発症が少ない」
山口晴美ほか「全身浴との比較から見た手浴の心身へ及ぼすリラクセーション作用の検証」 (『Health and Behavior Sciences』18巻2号、p.67-74、2020年)




















