
「冬のメンタル疲れ」とは
冬はメンタル不調になりやすい、という認識は世間的にも広まってきました。
実際には、夏季や雨季など特定の季節に生じる不調(季節性うつ病、季節性感情障害)もありますが、冬はメンタル不調になる要因がたくさんありますので特に気を付けたい季節です。
また、冬季うつは過眠、過食、炭水化物や甘味を強く欲する症状が出やすいため、睡眠サイクルが乱れたり、食行動の変化で体重が増加し活動意欲が減るという特徴もあります。
症状は個人差がありますので、病院でうつ病と診断を受けるほどに悪化する方もいれば、いつもより憂鬱さが強い、疲労感が取れない、やる気が出てこないと感じるものの、日常生活に大きな影響が出ない程度で自然回復する方もいます。
大なり小なり季節の影響を受ける方が多いため、今回は「冬のメンタル疲れ」と題して、不調になる理由とその予防・緩和の方法についてお伝えします。
なぜ冬は抑うつ的になりやすいのか
日照時間の短さによるセロトニン不足
日本では、夏至と比べて冬至の日は昼の時間が5時間も短いとされています。
必然的に太陽の光を浴びる時間が短くなってしまうのですが、それに伴い脳内のセロトニンの分泌が低下します。
セロトニンは、精神を安定させるホルモンで、「幸せホルモン」という別名もあります。
セロトニンが不足すると、精神的に不安定になり、不安やイライラが増加したり憂鬱になりやすくなったりします。
寒暖差のストレスによる自律神経の乱れ
冬は室内と外気の温度差が特に大きく、たとえば暖房を25℃に設定していると20℃以上もの温度差が生じる日も多いので、体温調節のために自律神経が過剰に働き過ぎてしまいます。
体温を一定に保つために、発汗させたり、血管や筋肉を収縮させるので、結果的にエネルギーを多く消耗することになり、疲労感が増大します。
活動量の低下や対人交流の減少による孤立感
冬は気温が低く、早く日が暮れることもあり、屋外の活動が減り家の中で過ごすことが増えます。
それに伴い人との対面交流が減り、気分転換やストレス発散の機会が減ったり、孤立感が強まったりします。
年末年始のイベントによる気疲れ
家族で集まることや、帰省に合わせて同窓会や忘年会など久しぶりの再会も多い季節です。
懐かしく楽しい時間でもある一方で、近況報告をし合うことで、普段は避けている話題を急に振られたり、誰かと自分を比べてやるせない気持ちになったりと、気疲れすることもあります。
その場ではなんとか乗り切ったとしても、後からどっと疲れが出てくることがあります。
また、移動のための費用や時間の負担もあると、「結構お金かかったけど大丈夫かな……」といった現実的な不安も感じやすくなります。
冬のメンタル疲れを予防・緩和するには?
朝に光を浴びる
まず大切なのが、光を浴びる時間を意識的に確保するということです。
どんなに努力しても太陽が出る時間は変えられませんので、個人ができることとして、少しでも多く日の光を浴びるために朝起きたらすぐにカーテンを開けましょう。
部屋の模様替えをして、窓際にいる時間が長くなるような家具の配置にするのもおすすめです。
有酸素運動を1日20分
ウォーキング、サイクリング、ヨガなどで体を動かすことも有効です。
一定のリズムで行う運動は、幸せホルモンであるセロトニンの分泌を促すとされ、1日20分程度行うことが推奨されています。
また、寒さで筋肉がこわばっているため血流が悪くなり、疲労物質が溜まりやすくなっていますので、軽い運動やストレッチで筋肉をほぐして全身の血流を良くしておくことも大切です。
ビタミンDを取る
セロトニンの生成に関連しているとされるビタミンDは、皮膚に日光が当たると作られますが、冬は日照時間が短いため生成されにくくなります。
日照時間が短い国ではサプリメントで補うのが当たり前になっている地域もありますが、まずは日頃の食事で取り入れてみるといいでしょう。
サーモン、サバ、サンマ、いくら、きのこ類、卵はビタミンDが多く含まれていますので、特に冬場は意識的に取り入れてください。
冬でも意図的に行動範囲を広げて楽しむ
「寒い、暗い、楽しみがない」と否定的に考えると気分はさらに落ち込んでいきます。
買い物や通勤で外に出た時に、「せっかく出てきたからついでに片道10分長く歩いてみよう」「冬だけの風景や植物をスマホで撮ろう」など、ついでに行動を追加するのがおすすめです。
少しでも安定して穏やかに冬を乗り越えられるよう、生活の中に取り入れてみてください。
<参考>
・厚生労働省 こころもメンテしよう「体を動かす」
・厚生労働省 eJIM「季節性情動障害に対する補完療法について知っておくべき6つのこと」



















