
毎年6月1日から6月30日までは、厚生労働省などが実施する「外国人労働者問題啓発月間」です。
外国人労働者が安心して働ける環境づくりや、企業による適正な外国人雇用の推進を目的として行われています。
6月は「外国人労働者問題啓発月間」
近年、日本では少子高齢化による労働人口の減少が深刻化しており、多くの業界で人手不足が課題となっています。そうした中、外国人労働者の存在感は年々高まっています。
厚生労働省によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は約257万人となり、2012年から13年連続で過去最多を更新しました。
2024年から約26万人増加しており、外国人を雇用する事業所数も約37万か所にのぼっています。

出所:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」
国籍別ではベトナムが最も多く約60万人、中国約43万人、フィリピン約26万人と続いており、製造業や建設業、介護、飲食業など幅広い業界で外国人材が活躍しています。

出所:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」
一方で、外国人労働者を巡っては、労働条件の不備や法令違反、不安定な雇用環境などの問題も指摘されています。
特に、言語や文化の違いによるコミュニケーション不足、在留資格の確認不足、不適切な労務管理などは、企業にとって大きなリスクとなる可能性があります。
そのため、厚生労働省では「外国人雇用はルールを守って適正に」というメッセージを掲げ、外国人労働者問題啓発月間を通じて、企業や社会全体への啓発活動を行っています。
企業に求められる外国人雇用のルールと対応
外国人を雇用する企業には、日本人労働者と同様に、労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法などを守る義務があります。国籍を理由に不当な差別を行うことは禁止されており、安全で働きやすい職場環境を整備することが重要です。
また、外国人を採用した際には、「外国人雇用状況の届出」をハローワークへ提出する必要があります。雇い入れ時だけでなく、離職時にも届け出が必要となるため、適切な管理が求められます。
さらに重要なのが、在留資格の確認です。外国人労働者は、それぞれ認められた範囲内でしか就労できません。企業が在留カードなどを確認せず、不法就労となる形で雇用した場合、不法就労助長罪に問われる可能性もあります。
加えて、外国人労働者が安心して働けるよう、言語面や文化面への配慮も欠かせません。例えば、多言語でのマニュアル整備や安全教育、相談しやすい体制づくりなどが求められています。
特に製造業や建設業などでは、安全指示が正しく伝わらないことによる労働災害リスクもあるため、わかりやすい説明や教育体制の整備が重要です。
外国人雇用は単なる人手不足対策ではなく、多様な人材が活躍できる環境づくりでもあります。企業側の適切な対応が、外国人労働者の定着や職場環境の改善につながっていきます。
外国人材と共生する社会づくりが重要に
今後、日本ではさらに労働力不足が進むことが予想されており、外国人材の活躍はますます重要になると考えられています。
リクルートワークス研究所の推計では、2040年には約1,100万人の労働力不足が発生するとされており、特に介護、建設、運輸、飲食などの業界で人手不足の深刻化が懸念されています。
こうした背景から、政府は外国人材の受け入れ拡大を進めています。その代表的な制度が「特定技能制度」です。
特定技能制度とは、深刻な人手不足が続く産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れるために2019年に創設された在留資格制度です。
現在は介護、建設、外食、農業、宿泊、製造業など16分野が対象となっており、即戦力となる外国人材の受け入れが進められています。
さらに近年は、受け入れ対象分野の拡大や、長期的に働きやすい制度への見直しも進められており、日本企業にとって外国人雇用はますます身近なものになっています。
その一方で、受け入れ人数を増やすだけではなく、働きやすい環境整備や適正な雇用管理を進めることが欠かせません。
たとえば、外国人労働者に対する偏見やハラスメントを防ぐ取り組み、キャリア形成支援、日本語学習支援などを行うことで、より安心して働ける環境づくりにつながります。
また、外国人労働者が地域社会の一員として生活できるよう、行政や企業、地域社会が連携しながら支援を進めていくことも重要です。
外国人労働者問題啓発月間は、企業が自社の雇用管理や職場環境を見直す良い機会でもあります。
外国人材が安心して働ける環境を整備することは、企業の成長だけでなく、持続可能な社会づくりにもつながっていくのではないでしょうか。
<参考>
・ 厚生労働省「6月は「外国人雇用啓発月間」です」
・ 政府広報オンライン「外国人雇用啓発月間」
・ リクルート進学総研「2040年の労働力を俯瞰する―Works未来予測2040より」





















