
人材不足や働き方の多様化が進む中、企業にとって人材育成は重要な経営課題の一つとなっています。
2026年2月に東京商工会議所が公表した人「人材育成担当者の 新入社員・若手社員・中堅社員に対する 意識調査」の集計結果では、新入社員・若手社員・中堅社員それぞれの育成に関して企業がさまざまな課題を抱えていることが明らかになりました。
今回は、調査結果の具体的な数値をもとに、企業の人材育成の現状や人材定着に向けた取り組みについて紹介します。
人材育成担当者が感じる育成の課題
東京商工会議所が結果を公表した「新入社員・若手社員・中堅社員に対する意識調査」は2026年1月7日から1月28日にかけて行われ、同所の研修講座を利用した企業担当者3,285名のうち322名から回答が寄せられています。
調査結果によると、新入社員や若手社員の育成に関する課題として最も多かったのは、「指導・育成しても会社を辞めてしまう」で49.4%でした。
次いで「指導・育成しても活躍しない」が41.0%、「指導・育成について効果的な方法が分からない」が21.7%、「気軽に相談できるメンターやOJTの指導役となる社員がいない」が21.1%となっています。
この結果から、多くの企業が人材育成に取り組んでいる一方で、育成した人材の定着や活躍につながらないという課題を抱えていることがわかります。
人材不足が深刻化する中、育成だけでなく「育てた人材をいかに定着させるか」が企業にとって大きなテーマとなっているといえるでしょう。
新入社員に求められる「主体性」と社会人基礎力
調査では、企業が新入社員に求める能力についても質問が行われました。
その結果、「主体性(物事に進んで取り組む力)」が76.4%で最も多く、次いで「実行力(目的を設定し確実に行動する力)」が36.6%、「規律性(社会のルールや約束を守る力)」が29.8%となりました。
これらの能力はいずれも、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」に含まれるものです。企業は専門知識やスキル以上に、主体的に行動する姿勢や基本的なビジネス姿勢を重視していることがうかがえます。
また、新入社員の指導において上司が心掛けるべきこととしては、「仕事の指導を丁寧に行う」が47.5%、「人間関係・チームワークを重視する」が36.3%、「部下の意見や考えを真摯に聞く」が33.9%となりました。
この結果から、新入社員の育成では単に業務を教えるだけでなく、コミュニケーションを重視した指導や信頼関係の構築が重要視されていることがわかります。
管理職志向と人材定着の課題
今回の調査では、若手・中堅社員のキャリア志向についても調査が行われています。
管理職を目指したいと考える割合は、新入社員が44.3%、若手社員が45.7%、中堅社員が52.3%となりました。
一方で、管理職を目指さない理由としては、「自分には適性がないと思う」が新入社員では40.9%、若手社員でも34.3%となっています。
また、「プライベートを大切にしたい」「仕事の責任や業務量が増えることへの負担感」なども理由として挙げられており、管理職に対する心理的ハードルの高さがうかがえます。
企業では将来の管理職候補の育成が重要な課題となっていますが、社員側では管理職に対する負担や不安が一定数見られます。
さらに、人材定着のために企業が実施している施策としては、「賃上げの実施」が70.8%で最も多く、次いで「福利厚生の拡充」が52.8%、「ワークライフバランスの支援」が43.2%となりました。
また、実際に効果があった施策としても「賃上げの実施」が56.6%で最も多く挙げられており、待遇面の改善が人材定着において重要な役割を果たしていることがわかります。
人材不足が続く中、企業には人材育成だけでなく、社員が長く働き続けられる環境づくりが求められています。
研修制度の充実やキャリア形成支援、働きやすい職場環境の整備など、総合的な人材戦略が今後ますます重要になっていくといえそうです。
<参考>
東京商工会議所「『人材育成担当者の 新入社員・若手社員・中堅社員に対する 意識調査』の集計結果」

























