
衛生管理者は生涯役立つ国家資格
4月は年度が切り替わる企業も多く、組織体制の変更が行われる時期でもあります。
常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が義務づけられているのが「衛生管理者」であり、企業にとって欠かせない役割です。
本記事では、第二種衛生管理者試験について概要と学習方法を紹介します。
衛生管理者は、労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が義務づけられている国家資格です。
企業にとっては必ず配置しなければならない職務であるため、資格を持っているだけで採用や社内評価においてプラスに働く場面もあります。
また更新などもないため、一度取得すれば生涯活かすことができる資格です。
第一種、第二種と種別が分かれており、衛生管理者として従事できる業種が以下の通り異なります。
第一種衛生管理者
第一種衛生管理者は、放射線や化学物質などの、労働者の健康に悪影響を及ぼす恐れがある業務を扱う業種を含む全業種で従事できます。
例)農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業および清掃業
第二種衛生管理者
第二種衛生管理者は、上記以外の有害業務がない業種で従事できます。
例)情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など
第二種衛生管理者は有害業務がない業種に従事が限定される分、試験の出題範囲は第一種よりも限定されており、比較的学習しやすいといえます。
試験は厚生労働省の指定を受け、公益財団法人安全衛生技術試験協会が実施しています。
合格率は第一種が約45%、第二種が約50%で、計画的に学習すれば十分に合格を狙える資格です。
試験問題の傾向をつかむことがカギ
第二種衛生管理者の試験範囲は「労働衛生」「関係法令」「労働生理」の3分野に分かれており、各科目4割以上、かつ合計6割以上正答で合格となります。
公表試験問題を活用し、頻出部分を確実に抑えることが重要です。
第二種衛生管理者試験の試験科目・試験時間
| 試験科目 | 出題数(配点) | 試験時間 |
| 労働衛生(有害業務にかかるものを除く) | 10問(100点) | 13:30~16:30(3時間) ※科目免除者は13:30~15:45(2時間15分) |
| 関係法令(有害業務にかかるものを除く) | 10問(100点) | |
| 労働生理 | 10問(100点) |
各科目の概要
・ 労働生理:人体のしくみを扱う科目。日常生活と関連づけて理解しやすい
・ 労働衛生:労働者の安全を守るための作業環境管理や緊急時の救命措置等を扱う科目。換気、作業環境測定など、専門的な内容が含まれるが、業種によっては業務上で馴染みがある箇所も存在する
・ 関係法令:条文や数字が多いが、出題パターンが大きく変わることは少なく、公表試験問題を繰り返すことで得点は上がりやすい
筆者は第一種衛生管理者試験を受験、資格取得しましたが、以下のように学習しました。
種別は異なりますが、第二種受験予定の方にも参考にしていただけたら幸いです。
【学習期間】約1カ月:平日の昼休憩中や退勤後、休日も1日3時間ほど時間を割き学習を進めました
【勉強手順】テキストを1周読む→公表試験問題5年分を3周しながら知識の穴を埋める
公表試験問題は直近1年分が安全衛生技術試験協会公式サイトに掲載されています。
それ以前のものもネット上で見つかるので、活用すると出題傾向を幅広く対策することができます。
法改正や出題傾向の変化もあるため、6年以上前の問題は触れずに試験に臨みました。通勤中などの隙間時間には過去問アプリなども活用しました。
衛生管理者試験は少しずつ新しい出題傾向の問題も出てきてはいるものの、すべてががらっと変わってしまうようなことはなく、今までに出題された問題をおさらいすることである程度カバーができる試験です。
また衛生管理者試験は選択式であるため、選択肢の言い回しに慣れることも重要です。
似た表現が多く、ひっかけ問題もあるため、公表試験問題で「どこが問われやすいか」を把握しつつ、語呂合わせなども使って効率的に暗記しておくと、本番で迷いにくくなります。
頻出箇所がまとまった教材を活用するのも有効です。
「産業保健新聞」の運営元、ドクタートラストでは頻出箇所に絞った資料・動画を提供していますので参考にしてください。
熱中症対策関連の出題が増える?新傾向とは
試験問題は事前に作成されるため、法改正があった場合、半年から1年程度のタイムラグを経て試験問題に反映されることがあります。
改正から1年前後経っている分野は新たな傾向として出題される可能性があるので、内容を確認しておくと安心です。
熱中症対策の義務化
本稿執筆時点で、新傾向として第二種衛生管理者試験にすでに影響しているのが、 職場における熱中症対策の義務化(2025年6月1日施行) です。
事業者には暑熱環境下でのリスク評価や作業計画見直し、休憩確保などが求められます。
特に、暑さ指数(WBGT)の活用が明確に位置づけられた点は、試験でも問われやすい領域です。
WBGTは気温・湿度・ふく射熱を加味した暑さの指標で、熱中症リスクを評価するための基礎知識として重要です。
計算式や、どのような環境要因を反映した数値なのかを理解しておくと、関連する設問に対応しやすくなります。
化学物質規制の全面規制
もう一つ注目すべき改正として、化学物質規制の全面施行(2024年4月1日) があります。
化学物質管理の考え方が大きく変わり、事業者にはリスクアセスメントの実施や情報伝達の強化が求められるようになりました。
第二種衛生管理者試験では、詳細な化学物質の知識までは問われませんが、基本的な考え方や制度の枠組みは出題範囲に含まれます。
特に「なぜ規制が強化されたのか」「事業者に求められる対応は何か」といった理解は、試験でも実務でも役立ちます。
新傾向ついてお伝えしましたが、新しい出題傾向の問題が出題されたとしても、その傾向に慣れていないのは全受験者同じ条件です。
焦らず、学んだ知識を使って対応していきましょう。
<参考>
・ 公益財団法人安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」
・ 厚生労働省「衛生管理者について教えてください。」
・ 厚生労働省富山労働局「職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行)」
・ 厚生労働省「職場における化学物質対策について」





















