
高市総理の施政方針演説でも話題に上がった「裁量労働制」。
どういった働き方なのか、世間でのニーズは?など気になっている人も多いのではないでしょうか?
日本経済団体連合会は2025年11月27日、「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」公表しました。
これは全国の労働者男女を対象に実施した「労働に関するアンケート」の回答結果からホワイトカラー職(①企画の職業、専門的・技術的職業、②事務的職業(一般事務、経理、内勤での営業事務等)、③接客・サービス管理的職業)の労働者 1,319 名の回答を抽出したものになっています。
今回はこのアンケート結果から、労働者から見た裁量労働制のニーズについて解説していきます。
裁量労働制とは?
裁量労働制とは、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要がある業務に労働者を就かせた場合に、あらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度です。
導入には、健康福祉確保措置の導入や労働者本人の同意・撤回手続き等、法律で定められた一定の手続きが必要です。
現行法では、たとえば、新商品の研究開発、システムエンジニア(専門業務型裁量労働制)、経営企画や働き方改革に関する人事制度の企画立案(企画業務型裁量労働制)に対象業務が限定されています。
また、労働者から見た裁量労働制のメリットについては「メリハリをつけて自分のペースで働ける(67.4%)」、「業務を通じて、自分の知識や経験・スキルを伸ばせる(32.6%)」、「自分が満足できるまで仕事に取組み、仕事の完成度を高められる(28.8%)」という回答結果からも分かるように、労働時間に縛られずに自由に働ける、自分の成長に注力することができる、という点が挙げられます。
現在の裁量労働制の適用状況については、「企画業務型裁量労働制が適用されている(12.1%)」、「専門業務型裁量労働制が適用されている(5.8%)」という結果でした。やはり、まだまだ適用されている企業はかなり少ない状況となっています。
裁量労働制を希望するか
現在、裁量労働制が適用されていない労働者に対して、裁量労働制の適用を希望するか聞いたところ、「希望する(33.0%)」、「希望しない(67.0%)」という結果になりました。
希望する理由については、実際に適用している労働者と同様に「メリハリをつけて自分のペースで働きたい(79.3%)」が一番多い結果になりました。
続いて「就労時間が短くても一定額の裁量労働手当等がもらえる、成果に応じた処遇が受けられる可能性がある(34.2%)」、「業務を通じて、自分の知識や経験・スキルを伸ばせる(28.3%)」という結果になりました。
裁量労働制適用のニーズはそこまで高くはないものの、希望者の多数が自由な働き方というメリットに魅力を感じているということがわかりました。
まとめ
裁量労働制は、現在のところホワイトカラーを中心とした一部の職種に限ってのみ適用されており、すべての働き方に広く導入されている制度とはいえません。
しかし、回答結果からわかるように、働く時間を自由にコントロールし、メリハリをつけて働きたいという要望も高まっており、ワークライフバランスを重視する価値観の広がりが感じられます。
こうした背景から、裁量労働制のような柔軟な働き方への関心はさらに高まっていくのかも知れません。
一方で制度の運用にはまだまだ課題があります。そもそも、裁量労働制は労働者の柔軟な働き方を支援するための制度ではなく、「労働時間ではなく成果で評価する仕組み」です。
企業の運用に仕方によっては、昨今の働き方改革によって労働環境が見直されてきたにも関わらず、従来の長時間労働を助長してしまうのでは、という懸念の声を散見されます。そのため、この制度の適用には、企業と労働者の双方が納得できる適切な評価制度の整備が不可欠といえます。
この制度の見直しを行う方針が示されましたが、適切に運用していくためには、こうした課題を踏まえながら、企業や労働者の業務内容ごとの実態に合わせた慎重な検討と環境整備が求められるでしょう。
<参考>
・ 一般社団法人日本経済団体連合会「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果(PDF)」

















