国土交通省、「ホワイト物流」推進運動の賛同企業名を公表へ
- 2019/7/12
- 働き方改革
近年、ドライバー不足が深刻化する中で「宅配危機」や「引越難民」などと呼ばれる問題が生じています。
今後、50~60代の運転者が定年等を機に大量に離職することなどをふまえると、私たちの生活や産業活動への影響を避けるためには、従来の「運び方」を見直し、荷主、物流関係の事業者が連携し、今よりも働きやすく、生産性の高い物流を実現することが求められています。
運送業と聞くと、労働時間が長い・危険・過酷など、さまざまなマイナスイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし環境改善に取り組むことで、ホワイト企業ならぬ「ホワイト物流」と呼ばれるような環境にしていこうという運動が現在注目されています。
ホワイト物流推進運動とは
ドライバー不足に対応し、私たちの生活や産業活動に必要な物流の安定を確保するとともに、経済の成長に貢献することを目的とし、次のことに取り組む運動です。
・トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化
・女性や60代以上の年代の運転者等も働きやすい労働環境の実現 など
先日、ホワイト物流運動に賛同する企業が国土交通省が運営するのサイトで公表されました!
【国土交通省】ホワイト物流推進運動ポータルサイト(http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000046.html)
各企業は、自主行動宣言の提出・公表、ならびにその項目の実施を通じて、運動に参加することができます。
自主行動宣言とは、その企業の中で取り組むことの方針表明や、法令遵守、運送内容の見直しなどを含めたものとなります。
特に社会的な影響力が大きく、企業の社会的存在・社会的責任の観点からその業界の中で一歩リードした役割を果たすことを期待されている企業、さらには取り扱う物流量や従業員も多いと考えられる企業に対しては、この「ホワイト物流」推進運動への参加を国からも要請しているようです。
今はまだ、現時点での賛同企業社名が公開された程度ではありますが、2020年1月頃より賛同企業の数や取り組みの状況の集計や公表をしていく予定となっているようです。
こうした活動を通じて、運送業界全体の「ホワイト化」への取り組みが期待されます。
「働き方改革」ならぬ「運び方改革」
では具体的には、どのような取り組みが「ホワイト物流」推進運動となるのでしょうか。
ポータルサイトでは、企業・組合等において、自主行動宣言の内容を検討する際に参考にしてもらうための推奨項目リストが公開されています。
いくつか例を紹介します。
・ 出荷に合わせた生産・荷造り等
出荷時の順序や荷姿を想定した生産・荷造り等を行い、荷待ち時間を短縮します。
・ リードタイムの延長
ドライバーが適切に休憩を取りつつ運行することが可能となるように、発荷主としての出荷予定時刻を厳守します。
着荷主として幅を持たせた到着時刻を認めることなどにより十分なリードタイムを確保します。
・ 混雑時を避けた配送
道路が渋滞する時間や着荷主側の混雑時間を避けるため、出荷時間や納品時間を分散させます。
・ 宅配便の再配達の削減への協力
配達希望日・時間帯の指定が可能となるように、自社のインターネット通販サイトを改良します。
社宅への宅配ボックスの設置やオフィス受取を推進します。
引用元:【ホワイト物流推進運動ポータルサイト】 https://white-logistics-movement.jp/
また、このリストに記載されていない任意の取組についても、自主行動宣言の対象に加えることが可能です。
業界全体での取り組みを
私たちは、日々インターネットや、職場・家庭から近いエリアでいつでも好きなものを好きなタイミングで購入することができます。
しかし、ドライバー不足によりそういった「便利な生活」が難しくなる可能性もあります。
ドライバーとして働く側も、そのサービスを利用する側も、よりよい環境にしていくためにもホワイト物流推進運動という取り組みは、運輸業界の環境を変えていく一歩になるのではないでしょうか。