2020年5月29日付で厚生労働省と国土交通省が「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」を策定しました。
このガイドラインは、「建設資材物流」「家庭紙分野」「洋紙・板紙分野」「加工食品物流」の4分野に分けて作成されています。
今回は、「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」について詳しく説明します。
荷待ち時間が大きな課題に
トラック運送業界では、ドライバー不足の解消や長時間労働の改善が大きな課題となっており、メディアでも多く報道されてきました。
特に、荷待ち時間(荷物の積み下ろしの間に運送業者のトラック運転手が待機する時間)がドライバーの長時間労働の大きな原因のひとつとなっています。
輸送品目別の調査結果によると、30分以上の荷待ち時間が生じた件数は加工食品の分野で398件、建築資材の分野で350件、紙・パルプの分野で339件と、非常に高い数字となっています。
また、トイレットペーパーなどの一般家庭でも多く使用される紙製品の輸送においては「手積み手卸し」といった非効率な荷役作業を続けてきた結果として、長時間労働以外にも急な需要に迅速に対応できないなどの課題があり、今回のガイドライン作成に至っています。
Webクラウドを活用したデジタルな方法への移行
建設資材物流における課題としては、ひとつの工事現場に非常に多くの下請け業者が紐づいており、使う資材や工事の状況・その日の天候や道路事情に応じてスケジュール通り搬入が進まず、限られた荷下ろしスペースにトラックが集中してしまうことによって待ち時間が発生していることです。
複数の業者が関わったり、アナログな管理をすることにより余計な時間が生じてしまい、結果ドライバーの長時間労働につながることから、元請業者と下請業者の連携による情報の共有が必要とされています。
その対応策として、Web上で各業者の予定を入力し、共有していくことによりリードタイムの緩和や各資材の受注量の平準化に取組むことなどが挙げられています。
運送業者以外の協力が不可欠に
各ガイドラインで示されている、さまざまな課題に対する対応策は、どれも運送業者の職場環境改善のために必要なものです。
しかしながら、運送業者だけの対応では改善できない項目も中にはあります。そのため、関係する各企業の協力が必要不可欠ではないです。
そのため、各企業一丸となって対策に取り組むことをお勧めします。
<参考>
・ 厚生労働省「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 建設資材物流編」
・ 厚生労働省「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 紙・パルプ(家庭紙分野)物流編」
・ 厚生労働省「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 紙・パルプ(洋紙・板紙分野)物流編」
・ 厚生労働省「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 加工食品物流編」