建設業の人材確保のために
- 2025/2/28
- 働き方改革
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2024年12月27日、厚生労働省および国土交通省は、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため、2025年度予算案の概要を取りまとめ、公表しました。
人材不足の深刻化
建設業技能者のうち60歳以上が約25%を占める一方、29歳以下は約12%にとどまっています。
人材不足が深刻化する中、将来を担う人材の確保が急務となっています。
特に、若い年代の方や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めることにより、中長期的な人材確保・育成の推進が重要とされています。
対応方針しては以下の項目が挙げられます。
・建設キャリアアップシステム(CCUS) の活用促進
・若者や女性が建設業に定着するための取り組み
・処遇改善や安全衛生対策、ICT活用による生産性向上
・ハローワークを活用した人材マッチングや支援強化
主な予算措置
国土交通省
・建設業の魅力向上施(1.5億円)
・入札契約の適正化や地方公共団体の発注体制強化
・建設現場のICT普及や技能者の適正雇用関係の促進
厚生労働省
・建設事業主に対する助成金(69億円)
・若年技能者育成を支援する「ものづくりマイスター制度」(24億円)
・中小企業の働き方改革推進支援(92億円)
・墜落防止や安全衛生活動支援など安全対策
具体的にはどのようなことに取り組むのか
1. 人材確保と育成への取り組み
若者や女性の入職促進
・若年層や女性が建設業界に入職・定着しやすい環境整備
・高校生や高専生への建設業界の魅力を伝える出前授業や現場見学会の開催
・ハローワークでのマッチング支援強化
技能者育成
・中小建設事業主への助成金を通じた人材育成
・ものづくりマイスター制度による若手技能者への実技指導
・ハロートレーニング(職業訓練)で建設機械操作やICTスキルを指導
2. 働き方改革への取り組み
労働環境の改善
・労働時間短縮や柔軟な働き方を促進する助成金(92億円)
・47都道府県に「働き方改革推進支援センター」を設置し、コンサルティングや情報提供を実施
適正な雇用関係の促進
・建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用拡大
・技能者の経験や能力に応じた処遇改善
・社会保険や技能向上の機会等が十分に確保されない一人親方の技能者の処遇改善に向けた施策
3. 安全衛生対策への取り組み
建設職人の安全・健康確保
・労災防止のための巡回指導や教育を一人親方にも提供(1.1億円)
・墜落・転落防止対策(8,700万円)
・安全衛生経費の適切な配分や「標準見積書」の普及
中小専門工事業者の支援
・安全衛生管理能力向上のための技術研修や個別指導
4. 生産性向上
ICT活用とデジタル化
・ICT技術の導入による効率的な建設現場運営
・業界構造の適正化やICT普及に向けた実態調査
入札契約の改善
・地方公共団体の発注体制強化
・公共工事の品質確保と入札契約適正化を推進
ICTの普及に対する期待
ICTの普及は、これまで人力に依存していた作業を効率化し、データに基づく精密な施工を可能にします。
例としては以下のような取り組みが挙げられます。
クラウド型施工管理システム
・工事データをリアルタイムで共有し、進捗状況や課題を管理
・スマートフォンやタブレットを使って現場から直接報告が可能
IoTセンサーの活用
・温度、湿度、振動などをリアルタイムでモニタリングし、施工環境を最適化
・作業員の動線や健康状態の把握も可能
また、安全性向上や環境負荷低減にも寄与し、持続可能な建設業の実現に向けた基盤を築く重要な取り組みです。
暮らし維持のための安全・安心確保モデル事業
この事業は、災害時の備えと平時の生活基盤の安定を両立する重要な施策であり、地方の建設業界の役割をさらに拡大することが期待されています。
<参考>
厚生労働省・国土交通省「建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます」