テレワーク時代の体制整備に向けて

テレワーク時代の体制整備に向けて

10月16日に、厚生労働省の主催で「第2回 これからのテレワークでの働き方に関する検討会」が開催されました。
新型コロナウィルスの感染拡大により、テレワークを導入した企業は規模を問わず急増しましたが、急遽導入に踏み切った企業の中には、就業規則やテレワーク規定の整備などが追い付いていないところも多くあるのが実情です。
本検討会では、実際にテレワークを導入した企業の事例発表や、さまざまな業種の企業へのヒアリング結果なども踏まえながら、テレワーク導入時の留意点などに関して議論がなされていくものと考えられ、今後、体制整備に動く企業にとっても非常に有用なものとなると思いますので、今回行われた2回目の検討会について本記事で解説していきます。

第2回検討会の主要論点とは?

本検討会の第1回会合は、今年8月17日に開催されましたが、内容としては、座長の選出、今後の進め方・検討課題に関するディスカッションなど「キックオフミーティング」の位置づけでありましたので、今回の第2回が実質的な活動のスタートとなりました。
そして、今回の会合の論点として掲げられたのが、「テレワークの対象者を選定する際の課題」でした。
実際、新型コロナウィルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言発令を受けて、多くの企業がテレワークの導入に踏み切りました。
もともと「働き方改革」の流れがあり、この機会にテレワークを一過性の対応ではなく「アフター・コロナ」においても、その制度の継続を考える企業も多いことから、このタイミングで改めて「対象者選定時の課題」という制度導入にあたり最も基本的な部分から議論を始めてみよう、という趣旨であると考えられます。

テレワーク対象者選定時の課題・論点

テレワーク対象者選定にあたっての課題・論点に関しては、以下のものが挙げられています。

①本人のテレワークの希望の有無
・ 実際にテレワークを実施するかどうかは本人の意思が最優先されるべき

②業種、職種によるテレワークへの向き・不向き
・ 在宅勤務に向いている仕事(PC使用業務)と向いてない仕事(工場でのモノづくり)

③社員の特性(生産性を上げるために自律的に働くことができる社員かどうか)
・ 「指示待ち」の社員や時間マネジメントができない社員は不向き

④正規雇用者と非正規雇用者
・ 非正規雇用者の方が正規雇用者に比べてテレワーク実施率が低いという調査結果有

⑤社員間での優先順位
・ テレワークが常態化しても、育児、介護などを行っている社員を優先すべきか

コロナ禍においては、本人の意思に関係なく強制的に在宅勤務が命じられたり、工場のラインを止めて、本来在宅勤務不可能な従業員にまで自宅待機をさせたりといったことが発生したわけですが、テレワークを勤務形態として根付かせ、常態化させるということになると、テレワーク導入の目的を周知し、対象業務・対象者をどう決めていくのか、ということが最初のステップとなるということでしょう。

テレワークの定着に向けて

さて、そのテレワークには在宅勤務のほかにも、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務など、さまざまな形態が存在し、それぞれに特性、メリット、デメリットが存在するわけですが、テレワークを導入する企業が今後増えていくのは確実な情勢であり、今回テーマとなった「対象者選定」のほかにも、議論・整備すべきことは山積みです。

次回、第3回目の検討会では、
・ テレワークの実施に際しての労務管理上の課題(人材育成、人事評価、費用負担等)
・ テレワークの際の労働時間管理の在り方について
・ テレワークの際の作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルスについて
といったテーマに関して議論することが既に決まっております。

どのテーマも、テレワークを導入後に、円滑に実施していく為に、極めて重要なものであり、注目されます。
厚生労働省HPでは、既に参考資料として、「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」や「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」といったものも公開されておりますので、是非、下記URL先もチェックしてみてください。

<参考>
・ 厚生労働省「第2回『これからのテレワークでの働き方に関する検討会』資料」

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浅田 徹也株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

30年近く、銀行員として為替変動による企業のリスクを如何にヘッジするかのアドバイスをしてきました。
現在は、企業の健康経営をサポートさせていただいています。人事・労務面でのさまざまなリスクを軽減し、中長期的な成長に貢献することができる今の仕事に非常にやりがいを感じております。

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