新たな旅のスタイル!「ワーケーション」と「ブレジャー」

テレワークなどの働き方の多様化を踏まえ、観光庁は4月9日に、より多くの旅行機会の創出や観光需要の平準化に向けて、ワーケーション・ブレジャーを「新たな旅のスタイル」と位置づけ、その普及に向けた取組の一環として、制度導入を検討する企業と受入を検討する地域向けに、パンフレット・セミナー動画などを作成し、公開しました。
今回は、そのワーケーションとブレジャーについてわかりやすく解説します。

ワーケーション、ブレジャーの意味と導入のメリット

ワーケーション(Workation)とは、ワーク(Work)とバケーション(Vacation)を組み合わせた造語であり、コロナ禍の中、ニュースなどでも取り上げられる機会も多かったので、ご存知の方も多いと思います。
一方、ブレジャー(Bleisure)は、ブリージャーとも呼ばれる、ビジネス(Business)と余暇(Leisure)を組み合わせた造語です。
両者の違いですが、ワーケーションは、リゾート地や温泉地など、普段の職場とは異なる場所でテレワーク等を活用して余暇を楽しみながら仕事を行うことを言い、一方で、ブレジャーとは、出張などの機会を利用して、滞在期間を延長するなどして余暇を楽しむことです。
では、このような制度を導入した場合のメリットについて考えてみましょう。
まず、コロナ禍によって、インバウンド需要が消失し、GoToトラベル・キャンペーンも中断され、大きな打撃を受けている観光地の宿泊施設・飲食店などは、新たな需要により急場をしのげるだけでなく、この制度が定着すれば、中長期的にもこれまでと異なる顧客層を開拓できますし、週末や連休だけでなく平日でも顧客を獲得できるというメリットもあります。
企業側には、柔軟で多様な労働環境の提供による人材の確保、従業員の心身のリフレッシュによる生産性の向上、有給取得率の向上などの効果が見込めます。
ただ、企業側からすれば、導入にあたっては、セキュリティが確保されたWiFi環境や、執務に必要な個室の確保などのハード面での整備がどうしても必要条件になってきます。
受け入れる側の宿泊施設にも、一定の設備投資が必要ですし、特にハード面に関しては、宿泊施設だけでは対応できないケースも多いでしょう。

地方自治体との連携が鍵!

そこで、ポイントになるのが、地方自治体との連携です。
地方自治体も人口減少に伴う地盤沈下対策は急務であり、域内にある観光地やリゾート地を有効利用した地域活性化は、施策として十分に検討に値するものだと思います。
たとえば、設備投資をする宿泊施設に補助金を出したり、遊休施設を「仕事をするスペース」として提供して有効利用したり、あるいは宿泊施設だけでなく、飲食店など関連企業をも巻き込んで連携して企業を町ぐるみで誘致したりといった取り組みが期待されます。

官民一体となって制度の普及を後押し

今回、観光庁が作成したパンフレットは「企業向け」と「受入れ地域向け」の2種類があり、導入企業・受入れ地域の具体事例が数多く紹介されているほか、「企業向け」には、“制度導入へのポイント・手順”や“導入企業の規定の紹介”、「受入れ地域向け」には、“受入れ環境整備のためのチェックシート”や“受入れ環境整備の方法”など、盛沢山の内容になっています。

コロナ禍により、テレワーク、オンライン商談などが世の中に急速に浸透したことも後押しとなって、ワーケーションを中心に導入機運が高まりつつある感はありますが、生き生きと働ける従業員が増え、地域活性化を通じて地方創生にもつながっていく施策として非常に意義があるものですから、一過性のものとせず、中長期的に制度の普及を後押ししていってほしいものです。

<参考>
・ 国土交通省観光庁「『新たな旅のスタイル』ワーケーション&ブレジャー」

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浅田 徹也株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

30年近く、銀行員として為替変動による企業のリスクを如何にヘッジするかのアドバイスをしてきました。
現在は、企業の健康経営をサポートさせていただいています。人事・労務面でのさまざまなリスクを軽減し、中長期的な成長に貢献することができる今の仕事に非常にやりがいを感じております。

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