令和元年度「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」受賞企業の取り組みとその効果
- 2019/12/9
- 働き方改革
テレワークとは情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことで、導入企業が現在増加しています。
働き方改革のひとつとして注目を集めていることから、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
総務省では、テレワークの導入・活用を進めている企業に「テレワーク先駆者」として表彰、認定マークの付与を行なっており、2019年11月1日には令和元年度の「テレワーク先駆者」が発表されました。
今回は「テレワーク先駆者」をもとにしながら、今後のテレワークを考えます。
※「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語
「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」とは
「テレワーク先駆者」の表彰には3段階あります。
まず、テレワークの導入や活用を進めている企業・団体が「テレワーク先駆者」として選定。
そしてその中から、十分な実績を持つ企業などが「テレワーク先駆者百選」に選ばれ、ロゴが与えられます。
さらに「テレワーク先駆者百選」選定企業のうち、特に優れた取組をしている企業を「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」として決定します。
令和元年度「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」
令和元年度「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」には以下の4社が選ばれました。
・ アフラック生命保険株式会社
・ シックス・アパート株式会社
・ 明豊ファシリティワークス株式会社
・ リコージャパン株式会社
各受賞企業での取り組みとその効果
上記4社でのテレワークへの取り組みを以下では見ていきます。
アフラック生命(保険業、従業員およそ5,300人)
アフラック生命では、全社員が事前事後の申請・報告不要で、回数・時間制限なくテレワークを行える体制を整備しました。
体制整備においては、TC会議システムや、在宅勤務用のICTツールなど、システム面での充実をはかり、場所を問わずにどこでも同じ業務がこなせるようにしています。
また、地方社員向けに分身ロボットを導入。
これにより、地方社員がテレワークで本社の業務や研修に参加できます。
シックス・アパート(ソフトウェア開発業、就業員30人)
シックス・アパートでは、クラウドツールの活用や、電話対応の仕組み改善など、テレワークを前提においた業務見直しを行いました。
こうした体制整備により、従業員中16人が事業所のある東京以外での勤務を行っています(地方在住者は月に1回出社)。
さらに、テレワークの環境を整えるために「テレワーク手当」を月に1.5万円支給しています。
明豊ファシリティワークス(建設サービス業、従業員およそ230人)
明豊ファシリティワークスでは、個々人の業務行動を時間単位で把握するシステムを自社内で開発し、各社員の生産性を定量化しました。
これにより、テレワーク投資の効果が判断しやすくなったことから、環境整備、改善を加速させていきました。
また、地方自治体から、業務を自業務を受託したことで、自社のみならず自治体のテレワーク環境創出にも貢献しました。
リコージャパン株式会社(卸売業・小売業、従業員およそ18,200人)
リコージャパンでは、2011年の震災後からテレワークを導入しています。
2018年にはテレワークを全社に展開し、顧客向けに、実践事例を紹介するセミナーを開催するほか、ライブオフィスを開設しています。
また、2018年に発生した西日本豪雨や台風15号の際には、実際にテレワークを行い、BCPへの効果を確認しています。
さらには、テレワークを応用し、小規模な小学校での沿革合同授業を支援しています。
テレワークの効果は残業削減、利益寄与にとどまらない
テレワーク先駆者百選総務大臣賞を受賞した4社では、テレワークによる、さまざまな効果を創出しています。
明豊ファシリティワークスにおいては、1人あたり月平均残業時間が、約6年間で-27時間、さらに1時間あたりの売上粗利益は1.56倍に。
そしてリコージャパンは、たった2年間で、1人あたりの年間総労働時間が-97時間、売上金額は+599億円と驚くべき数値が出ていました!
さらに総務大臣賞受賞4社での効果はこれだけにとどまりません。
アフラック生命保険では、テレワークを全社員に導入したことから、短時間勤務社員のフルタイム化を実現したのです(短時間勤務社員比率が2015年53.4%から2018年38.4%へ減少)
またシックス・アパートは、テレワークを前提とした業務見直しを行ったことで、地方在住のエンジニアを、地方在住のままに正社員として採用することができたほか、働きながら休暇を取る「ワーケーション」も実現しています。
「テレワーク先駆者」が先駆者たるゆえん
テレワーク、なんとなく流行りでカッコいい!それだけの印象しか持っていなかった人は意外と多いのではないでしょうか。
しかし総務大臣賞受賞企業を見てみると、実際に売上や残業時間削減や、働き方の面で結果を出しています。
テレワークを目的とするのではなく、テレワークによる「効果」を見据えることが導入時には必要だとわかりますね。
また、すでにテレワークを導入済みの企業は「テレワーク先駆者」に応募して、その取り組みへの評価を受けて、対外的にアピールしてみませんか。
「テレワーク先駆者」は総務省が募集要項を公開しています。
毎年夏が募集期間となりますので、来夏の応募を検討してみましょう。
すでに超高齢社会である日本において、テレワークという働き方はひとつの大きな鍵となってきます。
介護の問題、地方の人手不足などを解決してくれる、企業側にとっても働く人にとっても大きなメリットを生み出すテレワーク。
さらなる推進・普及を期待します。