急激な円安や原材料価格の高騰の中で、働く人たちの意識はどう変わってきている?「働く人の意識調査」から見える収入不安

2022年10月28日、公益財団法人日本生産性本部が「第11回 働く人の意識調査」の結果を公表しました。
この調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期ごとにアンケートにより実施しているもので、11回目となる今回は、1,100名を対象にインターネットを通じて行われました。

最近では円安や原材料費高騰による物価高の話題も多く、人々の生活を直撃、そんな四半期になりました。
これまでの調査結果から、勤め先の業績や自身の雇用に対する不安感が改善傾向にある一方で、収入に対する不安は依然として増加傾向にあることがわかっており、以下のような特徴が見られる結果となりました。

新型コロナの感染不安は薄れてきた一方で、景況感は「悪い」が引き続き7割超

現在の景気について、「悪い」「やや悪い」の合計は71.1%と、2022年7月に公表された前回調査結果に引き続き7割超えでした。まさに昨今の原材料価格の高騰や、急激な円安等が影響していると言えるでしょう。
さらに、公共に対する信頼性について、政府(国)を「大いに信頼している」「まずまず信頼している」の合計は、2022年1月時点の調査では33.1%と過去最高を記録していましたが、前回27.4%、今回26.5%と低下傾向にあります。
一方で、2022年1月の調査以降は、新型コロナの感染への不安は薄れてきているようで、「かなり不安を感じている」の割合が、前回の14.9%から13.8%へと減少し、過去最低となりました。
これまで人々の生活を脅かす最も脅威であった対象として、新型コロナウイルスが筆頭にありましたが、今はそのコロナの不安よりも、円安や物価高など景気の方に不安要素が向けられるようになってきたようです。

勤め先への信頼感は改善傾向にあるが、収入は「かなり不安」が微増

勤め先の業績について、「不安を感じる」(「かなり不安を感じる」「どちらかと言えば不安を感じる」の計)は47.8%と、過去最高となりました。
雇用不安は、第3回調査(2020年10月)をピークに、以降は改善傾向にあるようです。
しかし一方で、今後の自身の収入については「かなり不安を感じる」と回答した人が微増しています。
今回の調査で新たに追加された質問「給与は勤め先の業績にかかわらず、一定であるべきだ」と回答する雇用者が51.5%と、わずかに半数を上回りました。
「給与は勤め先の業績に合わせて、変化させるべきだ」と意見がほぼ二分していることがわかります。
会社の業績自体はコロナの影響から回復してきたことは実感できている人が多い一方で、一個人としての自分自身の収入や資産に関しては不安を覚える人が多く、昨今の物価高騰や円安などが大きく影響していると言えるでしょう。

テレワーク実施率は、前回の最低数値より微増はしたものの、減少傾向に

テレワークの実施は、2020年5月の第一回の調査結果31.5%から減少傾向にあり、2022年7月の前回の調査では、16.2%と最も低い数値となりました。
そして今回の調査は17.2%と微増しています。
新型コロナの流行が始まった直後は、多くの企業がテレワークを実施しましたが、今では出社する人が少しずつ増え続け、直近1週間(営業日ベース)の週当たり出勤日数が「5日以上」と答えた人が25.9%で、第1回目の調査から過去最高でした。
また「自宅での勤務で効率が上がったか」という質問については、2020年5月の第一回の調査結果では7.2%だった数値が、今回では15.2%と、テレワークに慣れ、効率が上がっていると実感する人たちが増えているようです。

テレワークが比較的難しい業種の企業が、働き方をコロナ禍前に戻している傾向にあると同時に、いわゆる「ハイブリットワーク(テレワークとオフィスワークなど、複数の働き方を組み合わせるワークスタイル)」を取り入れた企業も増えていると言えます。
せっかく増えた働き方の選択肢が失われないよう、今回の調査結果を踏まえて、再び私たちは自由な選択をすることができる働き方というものを考えてみるべきではないでしょうか。

<参考>
・ 公益財団法人日本生産性本部「第11回 働く人の意識調査」

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野田なつ子株式会社ドクタートラスト 広報課

投稿者プロフィール

長年ブライダル業界で、映像コンテンツに携わってきました。激務が当たり前だった前職からドクタートラストに転職し、働き方改革や健康経営の素晴らしさを実感。前職の経験を活かして、見やすい、わかりやすい写真や映像で、産業保健業界の有益な情報を発信して行きたいと思っています。
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