中小企業がSDGs推進に二の足を踏む要因は?キーポイントは「利益も上げられるビジネスモデル」の発掘!
- 2022/4/20
- 雑学
今や社会人であれば誰もが知る言葉となった「SDGs」。
なんとなく聞いたことあるけど、ちゃんと説明できる人はまだまだ少ないのではないでしょうか。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が、全国の中小企業経営者や経営幹部、個人事業主など含む2,000社にSDGs推進に関する実態調査としてWebアンケートを実施しました。(調査期間:2022年1月7日~14日)
今回は実態調査をもとに、中小企業の「SDGs」推進に二の足を踏ませる要因が浮かび上がってきたので見ていきましょう。
SDGsへの理解度が高いほど取り組み度も高い
調査結果によると、約9割の中小企業は「SDGs」を認知はしているが、内容まで理解しているのは約4割に留まる事実が明らかになりました。
また、SDGsの取組状況は「現在すでに取り組んでいる」が11.6%、「現在は取り組んでいないが、今後取り組んでいく予定」が19.0%でした。
注目したいのが、SDGsに対する取組状況と理解度との関係です。
SDGsを「十分理解している/やや理解している」と回答したうち、「すでに取り組んでいる」、「今後は取り組んでいく予定」の合計が58.4%と過半を超えています。
一方で「あまり理解していない/理解していない」と回答した割合はたったの6.5%で、前者よりも50%以上低い結果となりました。
つまり、SDGsは理解度が増すほど取組状況が増加する傾向にあることが明らかになりました。
「SDGs」を知り、そのメリットや必要性を一社でも多くの中小企業に広く理解してもらえるような施策が引き続き重要となりそうです。
中小企業がSDGsの取り組みに二の足を踏む理由は「企業利益とは両立しない」というイメージ
続いて、SDGs を経営に取り入れる目的や意義についてのアンケート結果です。
「企業の社会的責任」が全体の約5割で最も高い結果となりました。
次いで「企業イメージの向上」が約3割となっています。
この結果を見ても明らかなとおり、SDGsというワードからは、社会貢献的な色合いが強くイメージされていることがわかります。
経営資源に余裕のある大企業が取り組むべきという認識がまだまだ根強いのではないでしょうか。
裏を返せば「企業利益とは両立しない」というイメージが、中小企業のSDGs推進に二の足を踏ませる要因となっているとも考えられます。
SDGsに取り組むことで得られるメリット、SDGsに取り組んで成功した中小企業の具体例などを広く認識してもらうことで、SDGsも利益につながる取り組みであるということが理解されれば、より取り組みが推進されるかもしれません。
「SDGsの取り組みによって利益もあげることが可能である」というビジネスモデルを具体的に提示することが重要
SDGsに取り組んでいない、取り組む予定もない、という企業に課題を聞いたところ、「取り組むことによるメリットがわからない」が16.9%、「何から取り組んでよいのかわからない」が16.3%と比較的高い割合を占めました。
次いで、「目標の設定方法がわからない」が11.1%となっています。
この結果を見て、まだSDGsに取り組めていない企業の方は、その通りだ!と納得されているのではないでしょうか。
規模の小さな中小企業であっても、社会的責任を果たしつつもSDGsの取り組みによって利益をあげることも可能であるというイメージを持つことは、今の経済状況、また現状の情報量ではなかなか難しいのかもしれません。
SDGsを取り入れたことで成功した中小企業のビジネスモデルを発掘し、具体的に提示することで、まずははっきりとした成功イメージをもってもらうことが重要になってきます。
その次に、今度は自分達が取り組むことでどんなメリットが得られるかを理解してもらえるのではないでしょうか。
今回の調査によって、SDGsはそのワードだけが急速に広まりましたが、本当の意味で理解し、メリットがある取り組みとして認識している企業は少ない状況であることがわかりました。
今後この結果を参考とし、中小企業における具体的な取り組み事例を紹介したり、SDGsのメリットを理解してもらったりすることで、企業規模に関わらずSDGsが広く浸透し、社会的貢献と利益の両者が相乗効果によって高まっていくことを期待します。
<出所元>
独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のSDGs推進に関する実態調査 アンケート調査報告書(PDF)」