「世界予防接種週間」とは、毎年4月の最終週におこなわれるWHO(世界保健機関)が定める国際デーのひとつで、病気を防ぐためにどの年齢の人に対してもワクチンの使用を促進することが目的です。
ワクチンはこれまで何百万人もの生命を救ってきました。
そして、世界で最も成功したもの、最も対費用効果の高いものとして広く認識されています。
この記事では、
・ 予防接種週間の「いま」と「これから」
・ 新型コロナウィルスワクチンの効果と3回目接種の意義とは
・ 接種しやすい職場環境づくり
以上3点についてお伝えします。
予防接種の「いま」と「これから」
世界では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって以前からの予防接種サービスの中断が相次ぎました。
現在は一部再開し始めている一方、依然として中断や延期が続いている国や地域もあります。
2020年は、はしかワクチン未接種の子どもの数が、過去20年間で最大の増加となりました。
はしかは感染力がとても強いウィルスで、予防接種なくして感染の流行を抑制できないにもかかわらず、接種率が低いために深刻な流行が報告された地域もあります。
パンデミックが起こる前から、全世界では2,000万人の子どもたちが重要な予防接種を受けられない状況でしたが、パンデミックによって状況がさらに深刻化したと言えます。
昨年、ユニセフやWHOは予防接種の現状課題に取り組み、パンデミックからの回復を支援するため「予防接種アジェンダ2030」を発表しました。
このアジェンダは乳幼児期から青年期、その後の期間まで生涯を通じた予防接種に焦点を当てています。
完全に実行されれば、WHOの推定では5,000万人の死亡を回避することができるとされています。
新型コロナウィルスワクチンの効果と3回目接種の意義とは
世界の予防接種状況にも大きな影響を及ぼしている新型コロナウィルス。
このワクチンは、いまもっとも身近な予防接種です。
皆様の中には、2回のワクチン接種の経験から3回目の接種に対し、
「副反応がひどかったらいやだな」
「オミクロン株は感染しても症状が軽いって聞くけど、それでもワクチン受ける意味ってあるのかな」
などの3回目の接種に不安や疑問を感じていらっしゃる方もいるかもしれません。
そもそもワクチンにはどのような効果が期待されているのでしょうか。
新型コロナウイルスワクチン接種の4つの効果
- 感染そのものを防ぐ「感染予防の効果」
- 感染しても症状が出るのを抑える「発症予防の効果」
- 症状が出ても重症にならないようにする「重症化予防の効果」
- 多くの人がウイルスへの抗体を持つことで社会全体が守られる「集団免疫の効果」
ワクチンの効果は以上4点です。
新型コロナウイルスワクチン3回目接種の意義
新型コロナウイルスワクチン3回目接種の意義は、新型コロナウイルスに感染したり、重症化したりするリスクを下げることです。
ワクチンの効果が永続的に続けばよいのですが、新型コロナウイルスに対するワクチンの効果は、時間がたつにつれて低下することがわかっています。
そのため、3回目の追加接種をおこない、ワクチンの効果を持続させることが大切です。
接種しやすい職場環境づくり
ワクチン接種を希望する従業員が接種しやすい環境を整えるため、企業は休暇や労働時間の取り扱いを検討しましょう。
接種や接種後の副反応が発生した場合に年次有給休暇の取得で対応することは、年次有給休暇の「心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障する」意義を守れません。
「接種しない・できない」方への理解と同時に、接種しやすい方針と規定を作成し、企業の責務を果たすことが求められます。
ワクチンを接種しなければ、感染のリスクはそのまま変わりません。
ワクチン接種の推奨は企業にとって大切な従業員を守るだけでなく、社会全体の感染症予防対策につながります。
厚労省では、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を公表しています。
状況に応じて内容が更新されていますので、企業は随時確認し、対応を更新していきましょう。
ワクチンが人々の関心事である今こそ、世界の混乱を招いている新型コロナウイルスを終息させ、本来のワクチンサービスを展開できるようにする意識を持続させていかなければなりません。
世界予防接種デーを良い機会ととらえ、予防接種に対する理解を深めましょう。