健康保険組合(健保)に加入していることの証明書である保険証は、一般的に会社の担当者から受け取るといったこともあり、医療費の情報が会社に伝わり、現在の服薬状況や抱えている症状が会社に把握されてしまうのではないか、と心配されている方も多いのではないでしょうか?
本当に医療費の情報は会社に知られてしまうのかどうか、解説していきたいと思います。
医療費は個人情報であり、本人の同意なく会社は知ることはできない
結論から言いますと、個人の医療費の情報が本人の同意なく会社に伝わることはありません。
会社と健康保険組合(健保)は別の組織です。
医療費は個人情報にあたるため、個人情報保護法に基づいて取り扱うことになるのですが、個人情報保護法23条にて、あらかじめ本人の同意を得ないで個人情報を第三者に提供することを禁じられています。
そのため、健康保険組合が第三者である会社に対して、医療費の情報を伝えることはありません。
近年広がるコラボヘルス
近年、企業と健康保険組合が積極的に協力しあい、従業員の健康増進に取り組むコラボヘルスが推進されています。
コラボヘルスでは、疾病予防や健康増進のために企業と健保が持つ健康・医療情報(医療費や健診結果等)を共同で活用し、健康課題の抽出、課題に対応した事業を実施します。
「疾病予防や健康増進のために企業と健保が持つ健康・医療情報(医療費や健診結果等)を共同で活用」ということは、コラボヘルスの下では、個人の医療費の情報が会社に共有されてしまうのか…?と思う方もいらっしゃると思います。
コラボヘルスでも、個人の同意なく医療費の情報は会社に共有されない
安心してください!
コラボヘルスを行っていても個人の同意なく医療費の情報は会社に共有されません。
コラボヘルスの健康情報の取り扱いのガイドラインである「データヘルス計画における健康情報(個人情報)の取扱い」で、コラボヘルスでは、個人が識別できず、他の情報と紐付けても誰の情報か特定することのできない「匿名化」された状態で、健康情報を取り扱うように案内されています。
特に医療費(レセプト)については、「特に、個人が識別されるレセプト原票デー タ(およびこれに類するもの)については、加入者の権利利益が侵害されるおそれが大きいため、 原則として事業主と共有することは適当ではありません」
とされています。
そのため、コラボヘルスを行っていても個人の同意なく医療費の情報は会社に共有させることはありません。