法令外の「健康情報」を収集する際は、事前の本人同意を得る必要があります

法令外の「健康情報」を収集する際は、事前の本人同意を得る必要があります

健康経営、労働者の健康への関心が高まり、自社でも労働者の健康作りを促進するため何か施策を打とうという企業も多いのではないでしょうか?
特に生活習慣に関する施策を検討する中では、現状の把握や、施策の効果の検討のために、歩数、睡眠などの「健康情報」を取得したいと考えるかもしれません。
事業者が法令によらず「健康情報」を収集する際には、事前の本人同意が必要となるため注意が必要です。

健康情報とは

厚生労働省の「事業場における労働者の健康情報等の取扱規定を策定するための手引き」では、健康診断の結果や、医師による面接指導の結果など「心身の状態に関する情報」の中で、個人情報保護法で、特に配慮が必要な「要配慮個人情報」と定められているものを「健康情報」と定義しています。
「健康情報」の取得に際しては、あらかじめ利用目的・取扱い方法を本人へ通知する必要があります。(個人情報保護法27条)
事業者が「健康情報」の収集をする場合、労働安全衛生法令で定められている項目(健診の法定項目等)については本人同意を得ずに収集可能ですが、法令で定められていない「健康情報」は事前に本人同意を得ることが必要です。(個人情報保護法17条2項)
そのためたとえば「毎日8,000歩以上歩く」、「毎日睡眠8時間以上の睡眠」といった健康施策を社内で実施するにあたり、日々の歩数や睡眠など法令で定めらていない健康情報を収集する場合は、事前の本人同意を得る必要があります。

なぜ本人同意が必要なのか

事業会社からすると、労働者の健康作りの施策のために有効活用だけと思われるかもしれませんが、労働者側では、たとえば、睡眠不足や運動不足など自身の健康の情報が会社に知られることで、人事上の不利益を被るのではないかと不安を感じる可能性があります。
健康情報が不適切に取り扱われるといったことがないよう、取り扱う目的や取り扱い方法について労働者本人の同意を得て収集する必要があります。

同意取得方法

なお「本人の同意を得る」とは、労働者本人の承諾する旨の意思表示を事業者等が認識することをいい、「事業場における労働者の健康情報等の取扱規定を策定するための手引き」では下記のような事例が紹介されています。

事例1) 本人からの同意する旨の口頭による意思表示
事例2) 本人からの同意する旨の書面(電磁的記録を含む)の受領
事例3) 本人からの同意する旨のメールの受信
事例4) 本人による同意する旨の確認欄へのチェック
事例5) 本人による同意する旨のホームページ上のボタンのクリック
事例6) 本人による同意する旨の音声入力、タッチパネルへのタッチ、ボタンやスイッチ等による入力

アプリケーションなどを導入し、睡眠や歩数などの「健康情報」の取得を考える場合にも忘れずに、事前の同意の取得をおこないましょう。
外部のアプリケーションを活用する場合には、同意の取得をどのように行うか、確認が必要です。

<参考>
厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規定を策定するための手引き」

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石津 卓也株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

楽しく働けるしくみのもとで働くことが大切だという考えを持ち、そのしくみを実現させる可能性を秘めた、情報技術に関心を持つようになりました。
現在、プログラマーとして、業務の自動化、効率化やしくみづくりを行っています。
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