【令和7年度最新】「エイジフレンドリー補助金」とは? 〜健康経営につながる高年齢労働者の安全対策〜

近年、日本の職場では高年齢労働者が急増しています。
2024年時点で、雇用者全体に占める60歳以上の高齢者の割合は19.1%。さらに、労働災害による休業4日以上の死傷者のうち30%が60歳以上という実態があり、年齢に伴うリスクの顕在化が深刻な課題となっています。
特に、以下のような事故が多発しています。

・「墜落・転落」による災害:男性の事故率は20代の3.5倍
・「転倒による骨折等」:女性の事故率は20代の19倍

こうした背景には、高年齢労働者に配慮した安全対策が企業側でまだ十分に行われていないことが挙げられます。
すべての労働者が年齢を問わず、安全かつ健康に働ける職場環境の実現に向け、企業には今こそ「先を見据えた備え」が求められています。

エイジフレンドリー補助金とは?

エイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者の労災防止対策に取り組む中小企業を対象に、設備改善や専門家による指導にかかる経費の一部を国が補助する制度です。
令和7年度(2025年度)からは、新たに「総合対策コース」が創設され、専門家によるリスクアセスメントと優先順位の高い対策の実施が支援対象となりました。
ただし、補助金の交付には審査があり、すべての申請者に交付されるものではありません。

対象事業者と申請期間

申請受付期間
令和7年5月15日(木)~10月31日(金)
※ただし、予算に達し次第、受付は終了されます。

対象となる事業者
中小企業で、事業継続が1年以上
・(Ⅰ、Ⅱ場合)労災保険適用の60歳以上の労働者を常時1名以上雇用(役員は除く)
・(Ⅰ、Ⅱ場合)高年齢労働者が対策を行う作業に就いていること
・(Ⅲ、Ⅳ場合)労災保険適用の労働者を常時1名以上雇用(役員は除く)

注意点
・1年度につき交付は1回まで
・過去に補助を受けた場合、同じコースには再申請不可
・交付決定前に着手した取り組みは補助対象外
・複数コースへの併願不可

令和7年度の補助対象コース(全4種)

I総合対策コース(新設)

労働安全衛生の専門家によるリスクアセスメントに要する経費と、その結果を踏まえた優先順位の高い労働災害防止対策に要する経費を補助するコース。

〇補助率
4/5
〇上限額
100万円(税抜)
〇対象となる取り組み例
・専門家によるリスクアセスメントの実施
・リスクアセスメント結果を踏まえた優先順位の高い対策の実施
(例:機器等の導入、工事の施工等)

Ⅱ職場環境改善コース(既存)

高年齢労働者の身体機能の低下を補う設備・装置の導入、その他の労働災害防止対策に要する経費を補助するコース。

〇補助率
1/2
〇上限額
100万円(税抜)
〇対象となる取り組み例
・転倒・墜落災害防止対策
(例:段差解消、手すり、防滑床材、昇降機器等)
・重量物取扱いや介護作業における労働災害防止対策
(例:リフト、パワーアシストスーツ、移乗介助サポート機器等)
・熱中症防止対策
(例:冷却ウェア、スポットクーラー、冷凍ストッカー、WBGT指数系等)

Ⅲ 転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース(既存)

労働者の身体機能の低下による転倒災害や腰痛災害(行動災害)を防止するため、専門家(理学療法士、健康運動指導士等)による身体機能のチェックおよび運動指導に要する経費を補助するコース

〇補助率
3/4
〇上限額
100万円(税抜)
〇対象となる取り組み例
下記の3段階の取り組みが必須
① 専門家を事業場に招き、身体機能チェック評価を受ける
② 専門家が①の結果に基づき、運動指導(対面指導)を実施
③ ②の効果の確認のため専門家による身体機能の改善等のチェックを受ける

※5人以上の自社の労災保険適用労働者に対する取組に限る(役員除く)
※オンライン開催不可

Ⅳコラボヘルスコース(既存)

事業所カルテや健康スコアリングレポートを活用したコラボヘルス等、労働者の健康保持増進のための取組に要する経費を補助するコース

〇補助率
3/4
〇上限額
30万円(税抜)
〇対象となる取り組み例
・健康教育・研修等
(例:禁煙指導、メンタルヘルス研修等)
・システムの導入
(例:健診データ管理システムの導入等)
・栄養・保健指導
(例:栄養・保健指導の実施等)

※5人以上の自社の労災保険適用労働者に対する取組に限る(役員除く)
※オンライン開催不可

補助金から始める「健康経営」への第一歩

高年齢労働者がますます増加するなか、職場における「安全」と「健康」の両立は企業にとって重要なテーマです。
特に令和7年度(2025年度)は、リスクアセスメントの実効性や専門家との連携強化が重視され、単なる設備導入ではなく職場全体の安全文化・健康意識の向上が期待されています。
補助金をきっかけに「健康経営」へとシフトすることで、労働災害の予防だけでなく、人材定着、生産性向上にもつながります。
まずは、エイジフレンドリー補助金の活用から、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

<参考>
厚生労働省「令和6年労働災害発生状況について」
厚生労働省「高年齢労働者の労働災害防止対策について」
一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会「令和7年度エイジフレンドリー補助金」
厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」
厚生労働省「『令和7年度エイジフレンドリー補助金』のご案内」
厚生労働省「令和7年度エイジフレンドリー補助金 Q&A」

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宮内 百恵株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学卒業後、航空業界でグランドスタッフとして従事しておりました。不規則な勤務体系のため、体調不良等で休職・退職される方が多く、職場の健康管理や働く人の心と身体の健康に関心を持ったことからドクタートラストに入社しました。自身もアンテナを高く張り、皆さまのお役に立てる情報を発信できるよう精進してまいります。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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