妊娠・出産に関わる制度は、年々改良されてきており、給付対象者には嬉しい制度となってきています。
出産手当金は、産前産後休業期間(産前42日※多胎妊娠の場合98日、産後56日までの間において労務に服さなかった期間)に対して支給されますが、給付金額については法改正により計算方法が変わっています。
(平成27年度健康保険法改正 平成28年4月施行)
傷病手当金および出産手当金の計算方法
傷病手当金と出産手当金の給付金額の計算方法は同一となっており、1日あたりの支給金額は以下のように計算されます。
平成28年3月まで
[休んだ日の標準報酬月額]÷30日×2/3
平成28年4月から
[支給開始日※以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額]÷30日×2/3
※一番最初に給付が支給された日のこと。
出産手当金は出産日によって支給額が変わる
【出産日が予定日より遅れた場合】
産前の起算日・・・「出産予定日」
産後の起算日・・・「実際の出産日」
出産日が予定日より遅れた場合は、産前の出産手当金は、予定日以前42日間が支給されます。
また、産後の出産手当金は、出産日から56日間が支給されます。
予定日から出産日までに空白期間ができますが、出産手当金の支給は「産前休業の始まりの日から産後休業の終わりの日までの間」と解されているため、結果的に、予定日から出産日までの分も支給されます。
【出産日が予定日より早い場合】
産前の起算日・・・「実際の出産日」
産後の起算日・・・「実際の出産日」
出産日が予定日より早い場合は、産前の出産手当金は、出産日以前42日間が支給されます。
また、産後の出産手当金は出産日から56日間が支給されます。
そのため、実際の出産日からさかのぼり、42日前に労務に服していた場合(実際の産前休業が42日未満の場合)、42日間分の出産手当金の支給を受けられないことになります。
実際の出産日が予定日よりも遅いか早いかによって、手当金の支給総額は変わることになります。
こればかりは実際に出産を迎えてみなければ分かりませんが、申請時の参考としてください。
絶対安静や入院!産休前の休業の場合、傷病手当金はもらえる?
結論としては、妊娠の有無に関わらず、条件に該当した場合は、傷病手当金を受けることができます。
平成28年3月までは出産手当金が支給される場合、その期間については傷病手当金は支給されないことになっていましたが、平成28年4月からは出産手当金の額よりも傷病手当金の額が上回った場合、その差額も支給されることになりました。
計算方法は上述のとおりです。
つまり、出産手当金の起算日と傷病手当金の起算日が異なれば、[支給開始日※以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額]も異なる場合があるため(標準報酬月額の変動等)、差が生じる場合には差額が支給されるということです。
但し、産休前に絶対安静や入院となった場合は、切迫早産等のリスクも高いとも考えられます。
出産日が予定日より早い場合は、傷病手当金はもちろん、出産手当金も42日間分満額受給できないという可能性もあるでしょう。
申請者、申請方法、申請時期
●申請者は、被保険者であるご本人です。
●申請手順は、(1)申請書を用意 (2)会社に申請書への記入を依頼 (3)主治医に申請書への記入を依頼 (4)協会けんぽや健康保険組合に提出 となります。
●申請書は、こちらをご参照ください。<記入例>
●申請時期は、事後となり、申請期間経過後~2年間です。遡って申請することができますので、ご本人が忘れずに申請しましょう。
出産手当金・傷病手当金共に、妊娠・出産に伴う休業を安心して過ごすために必要な手当金ですが、健康保険組合に自分で申請しなければいけない仕組みになっています。
知らずに有給休暇を使ったり、会社から案内がないケースもありますので、出産を迎える方は、ご自身が所属する健保のホームページなどをよく読んでおきましょう。