妊娠・出産・産後における女性の現状
妊娠中~産後1年以内に自殺した女性が100人を超えていた、との報道がありました。
皆さんは、妊娠、出産、赤ちゃん、ママ、パパなどの言葉を聞いてどのようなイメージを持たれますか?
可愛いわが子の誕生を喜び、これから一番近い存在として子育てをしていく“母親が自ら命を絶つ”ケースがこれほどあることは異常事態ではないでしょうか。
◇産後1年までに死亡した妊産婦の主な死因と人数
自殺 102人
がん 75人
心疾患 28人
脳神経疾患 24人
出血 23人
羊水塞栓 13人
妊娠高血圧症候群 11人
自殺者の内訳は、妊娠中3人、出産後92人、死産後7人。
特に、初産婦、35歳以上での自殺率が高い傾向にあるとのことでした。
(厚生労働省研究班 調査対象:平成27-28年の2年間)
妊娠・出産に起因する病気の死亡より多い
ちなみに、2年間で妊産婦の自殺者が102人という数字がどのくらい多いのか、他と比較してみます。
- 妊娠・出産に関連する病気が原因にある妊産婦の死亡 34人 (厚生労働省 平成28年妊産婦死亡数より)
- 国内の20~39歳の女性の自殺者数 1,433人 (警視庁 平成29年中における自殺の状況より)
環境変化と睡眠不足が要因か
人間にとって、環境の変化はすべてストレスとなります。
一見喜ばしい出来事であっても(就学、結婚、昇進など)生活スタイルが変わり、異なる環境に適応していくことは平常時より負担がかかります。
出産は、人生最大のライフイベントともいえるほどの大イベントであり、大きな身体的変化、生活リズムの変化、同時に立場・役割・責任の変化も生じ、育児不安、孤立などが重なり、心身のバランスを崩しやすくなります。
「産後うつ」は、10人に1人の割合で発症するといわれており、症状が悪化すると、自殺や児童虐待につながるおそれもあります。
また、睡眠不足により疲労が蓄積し、メンタル不調の要因となることは周知の事実ですが、産後の母親こそもっとも危険な睡眠不足の状態にあるといえるでしょう。
一番の対策は夫の育児参加
妊娠・出産が女性だけに特有のものであることから、産後の育児についても主に母親となる女性が担うという意識が根強いのではないでしょうか。
このジェンダーバイアスが女性を苦しめることになります。
「基本的に母親1人でやるのが当然だ」「母親ならこれくらいして当然だ」「良い母親にならなければ」と。
無意識のうちに母親達が家事・育児の最終責任者かつ実行者を担うことになり、いわゆるワンオペ・孤立化してしまうのです。
出産後も就業継続をする女性が増えてきているなか、女性たちが健全な状態で、さらなるキャリアアップを図るためには、どのようなことが必要でしょうか。
一番の対策は、夫の育児参加です。
そのためには、男性個人の意識もさることながら、職場の意識・環境改善も必要でしょう。
たとえば、以下のようなことが考えられます。
- 男性の育児休業取得の推進
- 母親を孤独にさせない就業環境の整備、リソースの提供
- 育児休業中のサポート体制、相談窓口
- 育児休業明けのサポート体制、相談窓口
妊娠中~産後1年以内に自殺した女性が100人を超えていた、というあまりに悲惨な状況に対して、身近な方を守る術を一人ひとりが考え、身につけたいものです。
<参考>
人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状
https://www.ncchd.go.jp/press/2018/maternal-deaths.html