中小企業の「健康経営」―「取組みの方法がわからない」が半数以上

このほど、東京商工会議所が「健康経営に関する実態調査」の結果をとりまとめ、公表しました。
これは、東京都内の従業員数300名以下の中小企業向けに対し、健康経営に関する実態や課題を把握し、今後の事業展開に活かすために行った調査です。

調査を行い、見えてきた実態・課題とは、どのようなものだったのでしょうか?

浮き彫りとなった認知不足

調査の結果、東京都内にある中小企業のうち、27.4%の企業が「内容を知っており取り組んでいる、または内容を知っている」と回答しています。
しかし、一方で40.0%を超える企業が、「聞いた事がない」と回答し、さらなる普及活動が急務であることが判明しました。

健康経営とは?

そもそも、「健康経営」とは、どの様なことなのでしょうか?
今回の調査を行った、東京商工会議所によると、「従業員らの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法」とされています。

具体的な例としては、国で取り組まれている「働き方改革」でも推進しているような、過重労働の是正や、テレワークなどの勤務形態の見直しを行い、ワークライフバランスの改善などを行うことで、従業員の健康の維持・増進を図り、企業価値や生産性を向上させることを目的とした取り組みといえるでしょう。

取組みたいけれど「方法がわからない」

では、実際にはどのように取り組んでいけばよいのでしょうか?
実際に、健康健康に関心を持っている企業においても、「現在実践している」と回答した企業は、20%ほどに留まっています。
70%以上の企業は、「いずれ実践したい」としながらも、「方法がわからない」、「ノウハウがない」、「社内の人員がいない」などの理由から実践に至っていない企業が半数以上という結果が明らかになっています。

健康経営の具体策としては、企業としての取り組み姿勢を従業員に対し示す事を皮切りに、従業員が気軽に利用できる相談窓口を設ける、社内でのセミナー(研修)実施、啓蒙資料の作成など、企業の特性や従業員のニーズに合わせた様々な取り組みが考えられます。

方法がわからない・ノウハウがない場合は、すでに健康経営に着手している企業の取り組みを参考にするとよいでしょう。
自社の規模や業態と似た事例であれば、比較的取り組みやすいのではないでしょうか。
中央労働災害防止協会のサイトの健康づくり取り組み事業場の事例紹介ページや、経済産業省が作成している健康経営ハンドブックでは、豊富な事例が紹介されています。
健康経営に取り掛かろう! と思ったら、まずご一読頂くことをお勧めします。

社内の人員不足・予算不足は外部との連携が鍵

そうはいっても社員の健康管理に対する人員や予算の確保が難しい……という声をよく耳にします。
人材不足に関しては、社内の衛生管理者を軸に、産業医・保健師などの外部資源や、助成金利用に伴うアドバイザー活用なども積極的に取り入れると、担当者への負担も少なく、費用対効果も大きくなります。
また、予算の確保につきましては、助成金や貸付金利優遇などのインセンティブ制度もだいぶ整ってきましたので、取り組みにあった制度を上手に活用し、まずは無理のないところから取り組みをスタートさせてみる事が大切ではないでしょうか。

<参考リンク>
「「健康経営に関する実態調査」調査結果について」(東京商工会議所)
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唐澤 崇株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

前職では、長時間労働があたりまえの業種で働いていました。
好きな仕事であれば特に苦にも感じず働いていましたが、子どもが産まれてプライベートな時間とのバランス考え転職。
現在は、縁もあり産業医の先生方はもとより、法学者や社会保険労務士の方々ともお付き合いをさせていただくようになりました。
法律の面からも働く方々はもちろん、企業自体が安全で健全な繁栄を続けていけるよう、サポートしていきたいと考えています。
【保有資格】メンタルヘルス法務主任者/産業保健法務主任者/ハラスメントマネージャー/ハラスメントカウンセラー/健康経営アドバイザー/ソムリエ
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