胸焼けやゲップの多さを感じることはありませんか?
今、年代を問わず増えている病気のひとつに「逆流性食道炎」があります。
逆流性食道炎とは、胃の内容物(食べた物や胃液)が食道のほうに逆流することによって食道に炎症が起こる病気です。
胃液はとても強い酸でできていますが、胃の粘膜は、その酸に負けないように強く丈夫に作られています。
ところが食道には本来胃液は存在しないので、食道の粘膜は薄く弱く作られています。そのため、胃液を含むものが胃から食道に逆流を起こすと、食道の粘膜が酸に負けてしまって傷つき炎症を起こしてしまうのです。
このようにして、食道に炎症が起こった状態を「逆流性食道炎」と呼んでいます。
こんな症状に注意!
- ゲップが多い
- 胸焼けする
- 喉がイガイガしてよく咳が出る
- みぞおちの辺りが痛い
こんな症状のある方は逆流性食道炎の可能性があります。
炎症がひどくなってくると、みぞおちだけでなく背中側まで痛みを感じることもあります。
本来、胃と食道のつなぎ目の部分は筋肉によってしっかり閉じていて、胃の内容物が逆流しないようにできています。
ところが加齢による変化や体重の増加、妊娠中のつわりやお腹が大きくなることなどさまざまなことが原因となって、つなぎ目が緩くなってしまうことがあるのです。
残念ながら緩くなったつなぎ目を元に戻すためには手術をするしかなく(手術になるケースは滅多にありませんが)、基本的には投薬や原因を取り除くことが治療の基本となります。
生活習慣病の側面も
現在、逆流性食道炎の薬はたくさんあり、以前とくらべて早く効いて効果の高い薬も増えました。
しかし、逆流性食道炎の治療には投薬治療だけでなく、生活習慣の見直しがとても大切になります。
- 食べ過ぎない、太っているなら減量する
- 刺激物(香辛料の多い食べ物)や油の多い食事を控える
- カフェインを含む飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶など)を減らす
- アルコール摂取を減らす
- 食後2時間は横にならない
- 寝る時は枕を高めにする
- 衣類の締め付け(きついベルトやガードル、矯正下着など)をなくす
このように、生活の中で改善できることがたくさんあります。
症状のひどい時は、もちろん投薬治療が必要ですが、逆流性食道炎は一過性のものというよりも繰り返すことの多い病気です。
そのため、日常生活の中でなるべく胃から食道への逆流を減らすことが改善の近道です。
たとえば、減量することで内臓脂肪が減ると、胃への圧迫が減るので逆流しにくくなります。
コーヒーやお酒などの飲料が好きで毎日摂取している場合は、2、3日それらをやめるだけでもぐっと症状の改善が見られますので、ぜひ気をつけてみてほしいと思います。
炎症が続くとは食道がんのリスク増
逆流性食道炎には、症状の辛さや不快感もさることながら、慢性的に食道に炎症が起こることで食道がんのリスクが増えるという怖さもあります。
胃と食道のつなぎ目が緩くなってしまった場合、どうしても「逆流しやすい体質」はその後も続くことになります。
しかし、日常生活に気をつけて「逆流しにくい生活」を心がけることで、逆流性食道炎を防ぐことは十分に可能です。
体質だからと諦めたり、漫然と投薬治療を継続している方はぜひ日常生活を見直してみてください。
きっと思っていたよりも大きな効果を感じることができるはずです。