5月17日は日本高血圧学会と日本高血圧協会により「高血圧の日」と定められています。
健康診断のときくらいしか血圧を測る機会がないという方も多いかもしれません。
健康診断で高血圧傾向と指摘をされた場合は、日常的な血圧測定をおすすめします。
血圧コントロールの基本的なポイントは過去の記事をご参照ください。
今回は、保健指導などで高血圧傾向の方からよく尋ねられる疑問をわかりやすく解説します。
本来の血圧はどっち?
疑問①
Q. 普段から自宅でも血圧を測っていますが、健診のときだけ血圧が高くなります。どちらが本来の血圧でしょうか。
一日の生活の中で、血圧は細かく変化しています。
運動をしたとき、怒ったとき、集中したとき、緊張しているときなどは、特に血圧は高くなるものです。
健康診断のときは、目の前に医師や看護師が座って血圧を測ることが多いですね。
人に測られることそのものに緊張したり、その後に控えている採血が苦手な人は、緊張して血圧が一時的に上がってしまうことがあります(白衣を着ている人を目の前にすると血圧が上がることから、「白衣高血圧」といいます)。
自宅で血圧を測っているときに、正しい環境で測れているようであれば、普段の血圧が本来の血圧と考えても差し支えないでしょう。
一時的な白衣高血圧は、慢性的な高血圧の人とくらべると、血管に障害を及ぼす程度は少ないといわれています。
ただし、血糖値や脂質代謝などでも所見がみられる場合は、血圧の変動のしやすさはリスクになることも。
不安であれば、健康診断の医師の診察やかかりつけ医に相談してみるといいでしょう。
どの血圧が一番正確?
疑問②
Q. 二の腕で測る血圧計や手首で測る血圧計、スマートウォッチで測ることができるものもありますが、どれが一番正確でしょうか。
日本高血圧学会で最も推奨されているのは、二の腕(上腕)で測る血圧計です。
ただし、上腕測定の血圧計で測定する際は、半袖または薄手のシャツで測定する必要があります。
手軽さと継続しやすさを求めるのであれば、手首で測る血圧計も使いやすいでしょう。
いずれにしても、測定部位と心臓の高さを揃えることが重要です。
スマートウォッチの血圧測定機能は、現在医療機器とは認められていません。
あくまで参考程度とし、ご自身の安静時の正確な血圧を知りたい場合は、上腕や手首で測る血圧計の方が好ましいでしょう。
運動を血圧の関係は?
疑問③
Q. 運動をすると血圧が上がるイメージがありますが、運動はした方がいいのでしょうか。
激しい運動をすると血圧は上がりますが、ウォーキング、ランニング、水泳などの有酸素運動を中程度で行うと、降圧効果があるといわれています。
少しきついと感じる程度の運動がベストです。
スマートウォッチなどで心拍数をチェックできる場合は、心拍数110回/分程度が目安です。
頻度としては週2回~、30分以上実施すると効果的です(10分×3回等複数回に分けてもOKです)。
ただし、以下に当てはまる人は、運動実施の可否は主治医に相談しましょう。
・ 180mHg/110mmHg以上の高血圧者
・ 心血管疾患(狭心症・心筋梗塞など)になったことのある高血圧者
血圧は一日の中でも大きく変動する値です。
正しく測定し、まずは自分の普段の血圧を知ることから始めましょう。
家庭では135mmHg/85mmHg以上、医療機関では140mmHg/90mmHg以上で高血圧と判断されます。
食事や生活習慣を改善しても高血圧が改善しない場合、遺伝的な要因からくる高血圧の可能性もあります。
放置すると危険ですので、服薬によって血圧を下げる場合もあります。
生活習慣を改善しても血圧が一向に下がらない場合は、一度受診を検討されてはいかがでしょうか。