毎年10月は「健康強調月間」です。
「健康強調月間」とは、健康保険組合連合会が1966年に国民の健康意識の向上を目的として生活習慣病予防に重点を置いた活動をスタートし、現在ではさまざまな組合・協会が一丸になって健康づくりに関わるさまざまな取り組みを行う活動月間です。
昨今、新型コロナウイルス感染拡大防止措置等によりテレワークが普及し、私たちの生活環境は急激に変化しました。
これにより、運動不足や食生活等も大きく変化し、生活習慣病のリスクが高くなっていることが大きな問題となっています。
そのため、生活習慣病の特性や運動・食事・禁煙など個人の生活習慣の改善の重要性について理解を深め、さらにその健康づくりを促進するため、ヘルスリテラシーの向上を目指していくことが重要です。
健康強調月間の取り組み内容
では、健康強調月間では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
健康強調月間では、様々な団体が健康保持や促進に向けて各種費用補助や保健指導などを行っています。具体的な内容は主催する団体によって異なりますが、例として以下が挙げられます。
① 各種健康診断の費用補助
人間ドック、一般健診、簡易健診、特定健診、婦人科単独検診、脳ドック、歯科検診など
② 予防接種の費用補助
インフルエンザ予防接種、風疹予防接種など
③ 生活習慣改善のためのサポート
特定保健指導、若年層向けの保健指導、運動プログラムの実施や情報提供など
④ そのほか
こころとからだの健康相談、食生活や睡眠に関する情報提供やセミナー実施など
健康強調月間は、健康保険組合などを中心に様々な取り組みが行われ、いつも以上に健康に関する情報を得ることができるでしょう。
また、運動プログラムやセミナーを無料で受けられることもあり、働く人にとっても参加しない手はありません。
健康強調月間は、取り組みを始めるチャンス!
このように、いつも以上に健康に関する情報を得やすい時期だからこそ、自分の生活習慣を見直すチャンスです。
特に、健康の土台となる、食事、運動、睡眠を振り返りましょう。
食生活
食生活の基本は、1日3食、規則正しく、バランスの良い食事をとることです。
みなさんは、以下のような食事習慣はありますか?
・ 朝食を抜いている
・ 食事の時間が不規則
・ 外食・コンビニ食が多い
・ 栄養バランスに偏りがある(炭水化物中心、脂質が多いなど)
食事内容にもよりますが、上記のような食生活を続ければ、生活習慣病のリスクも高くなります。
生活スタイルによっては改善が難しい部分もあるかもしれませんが、外食が多い場合には、炭水化物だけ(チャーハンと餃子など)の食事ではなく、定食スタイルを選んだり、残業で夕食が遅くなる際には、炭水化物や脂質は控えめにするなど、食事の見直しや工夫を図ることが重要です。
食事は、活動に必要なエネルギーや栄養素を補うだけでなく、生活リズムを整えることにもつながります。
食生活に不安を感じる方は、専門スタッフに相談をしてもいいでしょう。
運動習慣
国の健康づくりのための身体活動指針や様々な研究では、成人(18歳~64歳)の運動量の目安は、1日8000歩以上、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上とされていますが、いきなりスポーツを始めるには億劫、時間が取れないという人もいるでしょう。
そんな人におすすめなのが、通勤や仕事の合間にできる「ながら運動」です。
「健康保険組合連合会 けんぽれん」で紹介されているながら運動の一部をここでご紹介します。
通勤しながらかかとアゲ
1 足を肩幅に開く
2 かかとを上げる
3 かかとを下げる
4 繰り返す
資料作りながら腹式ブレス
1 鼻からゆっくり吸い、お腹を大きく膨らませる
2 口からゆっくり吐き、お腹をへこませる
会議しながらひざプッシュ
1 イスに座る
2 ひざを10秒間押し合う
3 これを10回3セット
運動を始めるにはハードルが高いという人は、上記のような「ながら運動」から始めてみるのもおすすめですし、以下のように、まずは生活活動の中で身体活動量を増やすことから始めてみるのも良いでしょう。
・ エスカレーターは使わない、なるべく階段をつかう
・ ランチを少し遠くまで食べに行く
・ 自動車ではなく、自転車で買い物に行く
睡眠習慣
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本は先進国の中で睡眠時間が最も短いことが分かっており、平均睡眠時間は7時間22分です。
また、国民健康・栄養調査(2019)によると、睡眠時間が6時間未満の人は、男性で37.5%、女性40.6%となっており、女性は男性に比べて家事や育児の負担が大きいことが影響していると考えられています。
なお、こうした背景には、近年の、スマートフォンやPCの普及による影響も指摘されています。
しかし、睡眠不足は、集中力や記憶力、パフォーマンスの低下を引き起こすだけでなく、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながり、心身の不調をきたします。
ですので、この機会に睡眠の質を上げるための工夫を行っていきましょう。
たとえば、以下のような工夫が挙げられます。
・ 起床した際に陽の光を浴びる(体内時計を整える)
・ 寝る前はスマートフォンやPCの使用を控える
・ 遅い時間の夕食を避ける。遅くとも就寝の2時間前までに済ませる
・ 寝る2~3時間前にぬるめの湯舟につかる
・ 寝る前の喫煙やカフェイン、アルコールを避ける
まとめ
ぜひみなさんも、ご自身の所属する組織や団体の取り組みを把握し、ご自身の健康づくりに役立てていきましょう!
<参考>
・ 一般社団法人日本生活習慣病予防協会「新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査」
・ 厚生労働省eヘルスネット「健康づくりのための身体活動基準2013」
・ 厚生労働省eヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
・ 健康保険組合連合会「健康強調月間」
・ 健康保険組合連合会「2023年度 通年ポスター」
監修:根本裕美子(ドクタートラスト 保健師)