トイレ設備や休養室は会社に必要?救急箱って設置しなきゃいけないの?事務所の衛生基準の見直しが行われています!

以前、下記の記事でトイレの設置基準についてご紹介しましたが、皆さんの会社のトイレや休養室・救急箱などの安全衛生に関わる環境は、法令で定められていることをご存じでしょうか?

事務所衛生基準規則では、労働安全衛生法に基づき、トイレ設備や更衣設備・休憩や休養を行うための設備・救急用具などについて定めています。
この事務所衛生基準規則ですが、女性の社会進出や活躍の推進、高年齢労働者や障がいのある労働者を含む全ての労働者にとって働きやすい環境の確保のため、基準の見直しを行っています。

今回は、厚生労働省で行われた「事務所衛生基準の在り方に関する検討会」で決定した、事務所の衛生基準の見直し方針や議論の要点をご紹介します。

トイレ設備について

これまでどおり、男性用と女性用とを区別して設けることは原則です。
ただし、少人数(10人程度)の事務所においては、独立個室型のトイレであって、プライバシーが確保される前提を満たせれば兼用とすることが認められます。

設置すべきトイレの数については、見直しは無いですが、従業員のニーズや利便性の向上を図りながら、会社の実情に応じて対応することが望ましいとされました。
セクシャルマイノリティ(LGBTQ)の社員など、多様な労働者が利用するバリアフリートイレの設置も進んでいるかと思います。
これらの設置については、法令で規定するのではなく、衛生委員会等の場を活用して柔軟に対応すべきであるとされました。

更衣設備、休憩の設備、作業面の照度

更衣室やシャワー設備を設ける場合(法定外のものを含む)は、性別にかかわらず、安全・プライバシーにも配慮するよう示されました。
また、休養室・休養所については、専用のスペースでなくても性別にかかわらず随時、体調不良者などが常に利用可能とすべきとされました。

併せて、休養室・休養所を設けるときは、入口や通路から直視されないよう目隠しを設ける、関係者以外の出入りを制限するなど、設置場所の状況に応じた配慮が必要となります。

また、作業する際の照度(明るさ)についても、一般的な事務作業における作業面(机上)の照度を現行の150ルクス以上から300ルクス以上に、付随的な作業(粗な作業)における照度を現行の70ルクス以上から150ルクス以上とする方針です。

救急用具(箱)について

今回の見直しでは議題とされませんでしたが、救急用具の設置については、労働安全衛生規則や事務所衛生基準規則にて設置が義務付けられています。
加えて、救急用具の場所や使用方法を労働者に周知すること、清潔に保つことが義務付けられています。
期限が切れていないか、不足しているものがないか、随時担当者を決めて確認しましょう。

また、救急用具として準備するものについては法令で、以下のように定められています。

一 ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬
二 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬
三 重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等

事業所の実情と合わせて準備頂くことが望ましいですが、包帯、滅菌ガーゼ・ガーゼ用テープ、消毒薬、コットン・綿棒(消毒用)、ピンセット 、はさみ、絆創膏等があるといいですね。
また、やけどの恐れのある作業場においては火傷薬、重症者が出る恐れのある作業場では、副木(添え木)や止血帯、担架などを準備しましょう。
法令上は明示されていませんが、止血などの処置の際には感染防止のために、ビニール手袋もあると良いですね。

いずれの基準に関しても、法令に沿いつつ、社員のニーズや健康状況などを確認しながら衛生委員会などで話し合い、柔軟に対応を行いましょう。
従業員が健康に働ける職場を作っていきましょう!

<参考>
・ 厚生労働省「『事務所衛生基準のあり方に関する検討会』の報告書を公表します」

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根本裕美子株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

行政保健師として特定保健指導、介護予防事業などを実施するなかで、働きざかりの方の健康づくりが重要であることを実感し、現在、産業保健師として働いています。
これまでの経験を活かし、わかりやすい、役立つ情報を提供します。
【保有資格】看護師、保健師
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