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- フードバンクを活用しよう!役目を終えた会社の備蓄品の行方
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い「マスクやアルコール除菌剤をもっと備蓄しておけばよかった」と思われた企業担当者の方はいるのではないでしょうか。
大規模な災害に備え、水や食料品の他、薬や衛生用品など社員の健康の維持に関わるものの備蓄は、企業の努力義務となっています。
従業員が施設内に留まれるように、3日分の備蓄が必要とされていますが、従業員数が多い会社にとっては備蓄品の数に加え、保管場所の確保も悩ましい問題です。
また、賞味期限や消費期限を最低でも年に1回は確認し、定期的な入れ替えも必要でしょう。
賞味期限や消費期限の到来は、災害が発生しなかった証拠ではありますが、食糧資源の浪費や環境への負荷の増大も問題になっている今、会社の食糧備蓄の有効活用についてご紹介いたします。
食品ロスの現状
食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。
日本では、年間2,550万トン(平成29年度農林水産省推計値)の食品廃棄物等が出されており、このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は612万トンと全体の約4割を占めています。
これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成30年で年間約390万トン)の1.6倍に相当し、国民一人当たりに換算すると”お茶腕約1杯分の食べもの”が毎日捨てられていることになるのです。
フードバンクの活用
フードバンクとは、「食料銀行」を意味する社会福祉活動です。
安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を企業などから寄附を受け、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動およびその活動を行う団体のことです。
一方に余っている食べ物があり、他方で食べ物に困っている人がいる時に、仲介して食料をつなぐ役割を担っています。
1960年代のアメリカ合衆国で始まった運動で、当時はスーパーなど小売店から廃棄される商品や農家から出た余剰生産食糧を寄付する形で貧しい人や路上生活者へ配布していました。
日本では、新型コロナウイルス感染症による学校給食の休止に伴い、フードバンクの需要はこれまで以上に高まっています。
社会全体で食品ロスの削減に取り組むことが重要になっているなか、食べ物の無駄をなくすためにもフードバンクの活用が推奨されています。
農林水産省では、新型コロナウイルス感染症対策に伴う休業等により発生する未利用食品の有効活用を図るため、フードバンクに寄附する際の輸配送やフードバンクの受け入れ能力向上に必要となる経費、再生利用(飼料化・肥料化等)する際の輸配送費や処理費を支援するフードバンク活用の促進対策及び再生利用の促進対策の運用改善が行われました。
防災備蓄食品の有効利用
フードバンクに協力する企業側のメリットは、廃棄コストや環境負荷の削減ができることのほか、社会貢献活動の実施にも繋がることが挙げられます。
フードバンクは決して食品メーカーからの寄附のみを請け負っているわけではありません。
実際に「農林水産省での初めての取組み」とし、災害時用備蓄食料をフードバンク活動団体等に提供する旨のプレスリリースが令和元年12月23日に発表されました。
防災備蓄品などの入れ替え時に賞味期限にまだ余裕のある食品については、各地域のフードバンクに寄贈の検討をしてみてはいかがでしょうか。