近年、日本の雇用不足問題はどの業界の企業様からも聞く話で、年々深刻化している日本の大きな問題でもあります。
そんな中、厚生労働省では、7月27日に厚生労働大臣の諮問機関でもある中央最低賃金審議会が示した「平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考とした、すべての都道府県で地域別最低賃金の改定額を発表しました。
今回の最低賃金改定のポイント
今年度、各都道府県の引上げ額の目安については、都道府県別にランク付けした上での公表となりました。
都道府県の経済実態に応じて、全都道府県がABCDの4ランクに分けられ、
具体的には、Aランク26円、Bランク25円、Cランク24円、Dランク22円でした。
(参考)各都道府県に適用される目安のランク
・Aランク
…千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
・Bランク
…茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
・Cランク
…北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡
・Dランク
…青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
今年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は25円(昨年度は24円)となり、
目安額どおりに最低賃金が決定されれば、これは平成14年度以降で最高額となる引上げになります。
そもそも最低賃金制度とは?
最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、
その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労使合意の上で定めても、
それは法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされるのです。
最低賃金の対象となる賃金
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、
通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
もし仮に、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者は、
50万円以下の罰金に処せられることがあります(最低賃金法第40条)。
今回の公表に対して、10月より順次地域別最低賃金が発行・決定される予定となります。
毎年25円近くの最低賃金が増額していくなか、それでも人員不足に悩まされているのが現状です。
賃金に焦点を置くことも大切ですが、「働き方改革」、多様なニーズに合わせた新たな労働環境がこの先さらに求められてくるのではないかと考えられます。