働き方改革~労働力確保へのアプローチ~
- 2018/1/31
- ワークライフバランス, 健康管理, 働き方改革, 助成金, 労働環境
企業主導型保育事業
政府主導の働き方改革の骨子案に沿って、今国会でも引き続き審議等が進められていますが、超少子高齢化社会を迎えている日本において、労働力確保が急務となっています。
完全売り手市場となった就職戦線で、ニュースなどでも報道されて話題となっているように、内定辞退を受ける企業も多く、人材確保は容易ではありません。
女性や子育て世帯の社会復帰、就労環境改善を行うことでそうした危機を乗り越えようという企業も少なくはないでしょう。
特に子育て世代の社会復帰については、子供を預けるといった対応が大きな課題となっています。
そうした状況を受け、企業による保育所設置に対する助成も様々変化していることはご存知ですか?
企業による保育所設置は、これまで厚生労働省主導である意味限定的だったのに対し、今回内閣府主導となり「企業主導型保育事業」として、助成金の内容や規制緩和が行われるようになりました。
それでは、「企業主導型保育事業」とはどのような制度なのでしょうか?
企業主導型保育の特徴
「企業主導型保育」は、企業が従業員の子どもを預かるために設置した保育所のことをいいます。
この制度は、保育園不足などによる待機児童問題に対して、助成などにより企業による保育所設置を促し、多様な働き方に対応した保育を提供し、仕事と子育ての両立を支援し労働力を確保する目的で制定されました。
これまで厚生労働省主導で取り組まれてきた「事業所内保育」と類似しているように思われますが、実は大きく異なります。
「企業主導型保育」は認可外保育所、「事業所内保育」は市区町村による認可事業です。
認可保育の場合、預けるためには、従業員側が保育認定を受ける必要があります。
従って、認定を受けられなければ、事業所内保育は従業員であっても利用ができないなどの事情が一つのハードルとなっていました。
それに対し、「企業主導型保育」は認可外保育であり、利用者との直接契約が基本となるため「事業所内保育」のような保育認定が必要なく、たとえば週2回のみの利用なども可能となります。
企業主導型保育事業の対外的メリットは?
設置したいけれど、実際に運営していくのに、そんなに利用者がいないのでは?といった不安を持つ企業の方もいらっしゃるかと思います。
実は、複数の企業での共同設置や、駅の近く等企業所在地と離れた場所であっても設置が可能です。
さらに認可外なので、設置の際に自治体の関与を受けず、設置後に事業として委託をする事も認められています。
また、地域住民の子供の受け入れも利用比率50%以下であれば認められており、安定した利用者の確保も比較的容易になり、企業としての地域貢献を行うことにもつながるのです。
企業主導型保育事業のススメ
前述したように、認可外保育施設となる企業内保育ですが、一定の条件を満たし都道府県に届出を行えば、認可保育施設並みの運営費・設備費の助成を受けられることになります。
企業にとっては比較的取り組みやすく、認可外ながら認可保育施設並みの助成が受けられるうえに、自社の従業員のニーズに対しての対応が取りやすいため、多様な働きに対して働きやすい環境を整える事ができるため、妊娠・出産・子育てに伴う離職を提言させる事ができ、労働力の確保が容易になります。
同時に、企業イメージアップや、子育てへの安心感から新たな就職希望者を呼び込むことも期待できます。
利用者にとっても、自らの勤務する企業の比較的近くでの保育が提供されるため、安心して子供を預けることができ、発熱などの有事の際にも連絡がつきやすく対応がしやすいという安心感があります。
「企業主導型保育」は、貴重な人材の離職を低減させる一定の効果や、社会問題となっている待機児童問題解消に向け期待が高まっています。
超少子高齢化が進み、人材確保が難しい今だからこそ、国の制度を上手く利用して貴重な人材の離職を抑え、労働力を確保できる様検討する事が大切ではないでしょうか。
参考リンク:企業主導型保育事業ポータルサイト(http://www.kigyounaihoiku.jp/)