あなたの体重は、20歳の頃と比べてどうですか?
厚生労働省の「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ 標準的な質問票の分析に関する中間報告 概要」によると、40歳以上のメタボ該当者の60%~80%の人々が『20歳からの体重変化が10㎏以上』と回答しています。
これに対し、メタボ非該当者では20歳からの体重変化が10㎏以上あったのは10~20%の人々であり、その差は50%近くに及びます。
20歳の時の体重から10㎏以上増加している方は、メタボリックシンドロームに該当している割合が高く、また、40歳以前に既に運動・食事・喫煙などで不適切な生活習慣が形成された結果、メタボリックシンドロームに該当している方が相当程度いるようです。
中高年になってから、慌てて肥満やメタボの解消を意識し始めるのではなく、20~30歳代の早い段階から生活習慣を見直し、いかに体重コントロールしていくかがカギなのです!
野菜不足もメタボの原因に
メタボといえば、食べ過ぎと運動不足による肥満が元凶というイメージが一般的ではないでしょうか。
ところが、最近の琉球大学の研究グループによるマウスを用いた実験によると、野菜に含まれる硝酸塩などが不足した食事を長期にわたり続けると、たとえ食べ過ぎやカロリーの摂り過ぎでなくても、メタボリックシンドロームを発症し、心臓病を併発して早死にするおそれがあることが明らかになりました。
硝酸塩とは、ほうれん草、レタス、サニーレタス、サラダ菜、春菊、ターツァイ、チンゲン菜などの緑葉野菜に含まれる栄養素であり、野菜は硝酸塩の主要な供給源で、食事で摂取する硝酸塩の60~80%は野菜に含まれます。
あなたは、日々の食生活の中で野菜をしっかり食べることができていますか?
『メタボなんて自分には関係ないだろう』と思っているあなたも、もしかしたら他人ごとではないかもしれませんよ!
ちなみに、一日の野菜の目標摂取量は350g以上とされています。
「手ばかり」で表すと、生野菜の場合は両手一杯分、加熱野菜の場合は片手一杯分に相当します。
このうち120g以上は緑黄色野菜を摂ることが推奨されています。
国民健康栄養調査結果から見る近年の傾向
2016年11月に公表された「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」によれば、最近は男女ともに若い世代ほど食生活に課題が多く散見されます。
■栄養バランスのとれた食事を食べている状況
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べることが、「ほとんど毎日」の割合は、男性47.6%、女性52.7%でした。
逆に、「ほとんどない」の割合は、男性13.1%、女性8.5%となっています。
年代別にみると、男女ともに若い世代ほど「ほとんど毎日」食べている割合が低く、男性は30歳代、女性は20歳代が最も低い結果でした。
また、「ほとんどない」の割合は若い世代ほど高い傾向にあり、男性は20歳代、女性は30歳代が最も高い結果でした。
ちなみに、主食・主菜・副菜のうち組み合わせて食べられないものは、男女とも「副菜」が最も高く、それぞれ76.7%、74.0%であり、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度に関わらず同様の傾向でした。
■外食、持ち帰りの弁当・惣菜の利用状況
外食を週1回以上利用している方の割合は、男性40.6%、女性25.1%であり、若い世代ほどその割合が高く、持ち帰りの弁当・惣菜を週1回以上利用している者の割合は、男性41.1%、女性39.4%であり、20~50歳代ではその割合が高い傾向となっています。
外食及び持ち帰りの弁当・惣菜を定期的に利用している方の割合は、男性41.3%、女性29.2%であり、男女とも20歳代で最も高い結果でした。
■野菜摂取量の状況
野菜摂取量の平均値は、この10年間でみると、総数、男女とも有意な変化はみられませんでしたが、年齢階級別にみると、男女ともに20歳代で最も少なく、次いで30歳代が少ないという結果でした。
簡単にできる健康づくりを取り入れよう!
このような最近の傾向をふまえると、毎日の生活習慣や食生活の中で、簡単にできるちょっとした工夫を各人が知り、実行することが大切なのではないかと感じます。
外食や持ち帰りの弁当・惣菜の利用が増えることで懸念されるのは、高脂質・高カロリーの食事内容に偏りやすい、野菜不足、味付けが濃いため塩分過多に陥りやすいなどです。
このような食事が続くと、自ずと肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病といった様々な生活習慣病へのリスクが高まります。
何気なく選んでいる日々の食事で、次のようなちょっとした工夫を意識してみてはどうでしょうか。
◇いろいろな食材を使用したメニューや、定食を選ぶようにする
◇付け合わせの野菜は残さず食べる
◇汁物やレンジを利用し、野菜の嵩を減らして沢山摂る
◇お手軽なカット野菜や冷凍野菜などを活用する
◇麺類や丼類など、単品しか摂れない時は野菜ジュースを利用する
◇外食時は、できるだけ和食店を利用する
◇カロリー表示を確認する習慣をつける
◇揚げ物や油を使った料理が重複しないようにする
◇醬油やソースなど、追加の調味料は控えめにする
あなたも、日々のちょっとした工夫を習慣化して、今日から健康づくりを始めてみませんか?