果物は太る?美味しくて健康に良い果物を食べよう!

夏本番となり非常に暑い日が続いていますが、こんな時はスイカや桃、メロンなど美味しい果物が食べたくなる季節です。
「甘いもの=太る」というイメージを持つ方が多いと思いますが、果物も同じように食べると太るのでしょうか。
食後やおやつの時間にスナック菓子や清涼飲料水などを摂取する方もいますが、天然の甘味である果物を取ることをおすすめします。今回は果物の健康効果など詳しく紹介します。

日本人は果物をあまり食べない?

皆さんは果物をどのくらい取っているでしょうか。毎日食べるという方も、あまり食べないという方もいるかと思います。
厚生労働省「健康日本21」によると、果物の1日の摂取目標は200g程度とされています。
しかし実際に1日平均200g以上果物を食べている人の割合は、中央果実協会の調査によると10%と非常に低い結果となっています。また、女性より男性のほうが摂取する機会は少ないです。
日本では近年だんだんと果物の消費量は減ってきています。なぜ食べる機会が減ってきているのか、中央果実協会の調査によると「他の食品にくらべて高いから」「日持ちがせず買い置きができないから」「食べるまでに皮をむくなど手間がかかるから」「他に食べる食品があるから」という回答が多いようです。
私も企業で保健指導をするときに間食について聞くことがありますが、「果物を食べる」と答える人はあまり多くない印象です。
確かに果物以外にも甘くて美味しい商品は昔よりずっと増えており、安価なものもたくさんあります。
果物の健康効果は高いですが、野菜と同じように果物も毎日食べましょうといわれることも少ないので、皆さんにとってあまり印象が強くないのではないかと感じます。

果物の健康効果とは?

果物を食べると「甘い」と感じるものが多いですが、それは糖質(ブドウ糖や果糖)が含まれるためです。そのため、食べると肥満やメタボリックシンドロームの原因になるのではないかというイメージがついています。摂取方法によっては太りやすくなりますが、果物の健康効果はとても高いです。

●食物繊維が含まれる

食物繊維はLDLコレステロール上昇を抑える、血糖値上昇を緩やかにするなどの作用を持っています。果物自体の糖質の吸収も緩やかにする作用があります。

●ファイトケミカル(フィトケミカル)が豊富

身体の錆びつきを防ぐ抗酸化作用を持っています。がんや老化、動脈硬化予防に効果があり、以下成分を総称してファイトケミカルと呼ばれています。
ファイトケミカルは明らかにされているものだけでも約1,500種類あるそうです。

代表的なファイトケミカル

ファイトケミカル含まれる食材<果物>含まれる食材<果物以外>
ポリフェノール系:水に溶けやすく吸収されやすいベリー系、ブドウ、リンゴ、柿など紫芋、大豆、玉ネギ、ナス、クルミ、ピーナッツ、コーヒー、赤ワインなど
カロテノイド系:美肌効果やシミ予防、眼の健康を維持するマンゴー、柿、柑橘類、スイカ桃、などトウモロコシ、かぼちゃ、にんじん、トマトなど
テルペン類:生活習慣病を予防、リラックス効果がある柑橘類シソ

●ビタミンが豊富

ビタミンとは身体の機能を正常に保つための重要な栄養素です。
体内ではほとんど合成することができないので、食物から摂取する必要があります。果物にはビタミンA、B群、C、Eなどが多く含まれます。

・ビタミンA:皮膚や粘膜の健康維持、夜間の視力の維持など
多く含む果物…柑橘類、スイカ、ブルーベリー、キウイフルーツ、メロンなど
・ビタミンB群:エネルギー代謝の潤滑油のような働きをする
多く含む果物…柑橘類、パイナップル、バナナ、メロンなど
・ビタミンC:皮膚や粘膜の健康維持、免疫力アップ効果など
多く含む果物…柑橘類、キウイフルーツ、柿、いちご、パイナップルなど
・ビタミンE:強い抗酸化作用を持つ、免疫アップ効果など
多く含む食品…柑橘類、キウイフルーツ、ブルーベリー、桃など

国立がん研究センターなどの研究によると、果物をよく食べる人のうつ病リスクが減少すると示されています。
また、果物の抗酸化物質により酸化ストレス*が低下、肝臓の脂肪蓄積なども減るため、脂質や血糖値が改善します。
酸化ストレスや身体の炎症が亢進すると、糖尿病や肝臓病、心疾患、認知症などのリスクが高まるので、これらを予防するためにも果物が非常におすすめです。

*酸化ストレス:抗酸化作用を上回る大量の活性酸素(呼吸によって取り込んだ酸素の一部が通常より活性化した状態)が発生、抗酸化作用が低下することで細胞に障害が生じる現象のこと

おすすめの果物と上手な食べ方

果物は旬のものを食べるのが最もおすすめです。
旬の果物は栄養価が高く、多く収穫できるため、比較的安価で手に入ります。
季節にあったものを取り入れるのが良いでしょう。
下記も参考にしてスナック菓子などを減らし、少しずつ果物を取り入れてみましょう。

●フルーツは朝に食べるのが最もおすすめ

一番理想のタイミングは朝食として食べることです。
朝食は就寝中に枯渇したエネルギーを補給でき、摂取した糖分を消費しやすくなります。
ヨーグルトやオートミールに混ぜるなどもおすすめです。

●まずは1日100g摂取を目標にしよう

あまり食べる習慣がない方は、まずは100g摂取を目標にしてみましょう。
100gの目安は以下になります。

・ ミカン1個
・ リンゴ1/2個
・ ナシ1/2個
・ 柿1個
・ キウイフルーツ1個
・ イチゴ3~5粒
・ バナナ1本

●ドライフルーツは栄養価が高く保存もしやすく、ヘルシーな間食になる

保存食としても使用できるドライフルーツもビタミンや食物繊維などが豊富なため、栄養価が高いものになります。
間食でスナック菓子などを摂取するなら、ドライフルーツに変更してみましょう。
プルーンやアプリコットなどが糖質低めなのでおすすめです。

●フルーツジュースは注意

果糖はあらゆる栄養素と同じように小腸から吸収されると肝臓に向かいます。
ブドウ糖と違いインスリンの影響を受けないため、ブドウ糖よりも早く体内でエネルギーとして利用される特徴を持っていますが、取りすぎるとすぐに中性脂肪に変わります。
ジュースは加工過程で食物繊維やビタミンが失われる、糖質を添加される場合もあります。
何も加工していない果物であれば食物繊維が入っているためゆっくり吸収されますが、ジュースの場合一気に大量の果糖が入ってくるため、太りやすくなったり糖尿病を発症しやすくなったりするため注意が必要です。
固形より液体のほうが摂取しやすいため、つい取りすぎてしまう原因にもなるので、できるだけそのままの果物を取り入れるようにしましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「健康日本21(第三次)」
・ 公益財団法人中央果実協会「令和5年度果物の消費に関する調査報告書」
・ 公益財団法人長寿科学振興財団「ファイトケミカルとは」
・ 米国栄養学会「Millions of cardiovascular deaths attributed to not eating enough fruits and vegetables」
・ トランスレーショナル精神医学「Association between vegetable, fruit, and flavonoid-rich fruit consumption in midlife and major depressive disorder in later life: the JPHC Saku Mental Health Study」

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保健師 大島かよ

投稿者プロフィール

病棟・クリニックでの患者さんとの関わりの中で、「もっと早く治療開始できていれば」、「病気になる前に何かできないか?」と考えるように。その思いから次第に予防に興味を持ち、「働く世代」に対するアプローチがしたい!と、産業保健の世界へ飛び込みました。
現在産業保健師として数社訪問、健保で特定保健指導を担うフリーランスの保健師です。
自分の経験なども盛り込みながら、産業保健に関連する情報を発信していきます。
【取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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