衛生委員会を設置しないと罰則があるって本当?

従業員数が50名を超えた事業場では衛生委員会の設置が義務づけられている、というのは皆様ご存知のことと思いますが、「工場などのように大きな労災があるわけでもないし必要ないんじゃない?」と思っている方いらっしゃいませんか?
衛生委員会の運用について、一度見直してみましょう。

衛生委員会を設置しないと罰則があるって本当?

衛生委員会の設置は、冒頭で触れたように会社の「義務」にあたります。
労働安全衛生規則には以下の通りに定められています。

(委員会の会議)
第23条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月1回以上開催するようにしなければならない。
2 前項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める。
3 事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない。
一 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
4 事業者は、委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。

(関係労働者の意見の聴取)
第23条の2 委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない

(労働安全衛生規則)

衛生委員会自体を設置しない場合には、安全(健康)配慮義務違反として50万円以下の罰金が科せられるとされています。
罰則があるからというわけではありませんが、必ず設置を行うようにしましょう。
あわせて衛生管理者の選任も忘れずにしましょう。

設置さえされていれば罰則はない?

月1回の開催以外にも、衛生委員会自体の構成員は労使同数にする必要があるなど、細かな規定があります。
では、たとえばメンバーが労使半数ずつになっていない、毎月ではなく2~3ヶ月に1度しか開催されていない、といった場合は罰則はあるのでしょうか。
実は設置については罰金など厳しい罰則が定められていますが、内容の不備については明確な罰則は定められていません。
しかし、法令違反には変わりありませんので、発覚した場合には労働基準監督署より指導勧告が入ることは間違いないでしょう。

衛生委員会に意義を見出そう

とはいえ、委員や産業医とのスケジュールを合わせ、毎月委員会を開催するのもなかなか大変なことは事実です。
議題の選定や資料の作成にかかる時間も無視できません。
その結果、衛生委員会の意味を見いだせず、つい後回しにしてしまっているという声もよく耳にします。
本来衛生委員会とは、「よりよい職場環境にするために、使用者・労働者双方で話し合いをし改善をしていく場」でなければならないはずです。
労働者が安心して働ける職場環境であるよう、労働者の意見も取り入れながら見直したり、労働者が必要な知識を使用者側が提供するなど、できることは多岐に及びます。
上記の労働安全規則第23条の2には、委員会開催にかかわっていない使用者も労働者側の意見を聞く機会を設けねばならないとあります。
衛生委員会は開催することが目的ではありません。
労働者側からの50名を超え、会社としての規模が大きくなった段階で、さまざまな意見を取り入れながら会社をよりよくしていくという体制を会社のなかに根付かせるためのものだという認識を新たにしてほしいと思います。

衛生委員会の開催に困ったら

衛生委員会で話し合うべきことに明確なルールはありません。よりよい会社にするために必要なことをどんどん提案することをお勧めします。
もしテーマに迷ったり、メンバーの選定に困った場合は以下のようなサイトもありますので参考にしてみてはいかがでしょうか?
保健師が作成した、衛生委員会でそのまま利用できる無料の資料なども多く公開されています。

▶衛生委員会ハンドブック(https://aneiho.com/iinkai/
また保健師が実際に衛生委員会に参加し、アドバイスを行う、衛生委員会アドバイザリーサービスもあります。

▶衛生委員会アドバイザリーサービス(https://doctor-trust.co.jp/hokenshi/advisory/index.html
これを期に、一度御社の衛生委員会の「あり方」を見直してみてはいかがでしょうか?

参考:【厚労省】衛生委員会を設置しましょう(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0902-2a.pdf

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大沼 泉株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所

投稿者プロフィール

結婚・出産・育児といったライフイベントを乗り越えながら女性がいきいきと働くには、どんな職場環境が望ましいのか。ブラック企業から転職し、産休育休を経た経験をもとに、産業カウンセラー、そして働くママ社員の立場からさまざまな情報をお伝えしてまいります。
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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