一緒に住んでいるからこそ気付きたい。家族の疲労度チェック

残業に次ぐ残業で、帰宅時間が遅い。家に帰ってきてもすぐに寝てしまって、ゆっくり話をしたり出来ない。
休日出勤もしばしば。朝もなかなか起きてこない…まさに良く耳にする「働くお父さん・お母さん」の姿です。
でもその姿、そういうものだと見慣れてしまって、SOSを見逃していませんか?

疲労は体のSOS

そもそも疲労とは何でしょうか。疲れている、とはどういう状態を指すのでしょうか。

運動をしたり頭を使ったりすると、人間の体では活性酸素が発生します。
本来は体内に侵入したウイルスや細菌を退治する役割のある活性酸素ですが、必要以上に増えてしまうと、健康な細胞まで攻撃し、酸化させてしまいます。
通常以上に運動したりすることで活性酸素が過剰に発生し、細胞が傷つけられ、「今、ダメージを受けています!」というSOS信号が細胞から脳に発信されます。
そのSOS信号を受け、脳がこのまま続けてはいけない=休みたいという判断を下し、人間は疲労を感じるというメカニズム。これが疲労の正体です。

実は疲労とは、体の細胞から発せられているSOS信号なのです。

また、このSOS信号もどのタイミングで発信されるかには個人差があります。
200m走っただけで疲れ果ててしまう人がいる一方で、皇居を何周も走ることができる人もいます。
さらに、実は疲れを隠してしまったり、疲れに気付かない状態もあります。
仕事に追われて多忙極まりない時など、疲れから意識を逸らせ気合いで動いてしまったり、疲れているのに気づかず無茶をしてしまう人もいます。
どこまで耐えられるかは一概に線引きをすることができません。同じ仕事量や残業をこなしていても、身体を壊す人・壊さない人がいるのはこのためです。

疲労が隠れている状態は実は大変危険です。
人は危険を感じると本能的にそれを避けるはずですが、身体のSOSに気付いていない状態では、対策を打つこともできなければ、逃げることもできません。
過労で突然倒れたり、取り返しのつかない事態につながることもあります。

会社では月100時間を超える残業が一つの区切り

個人差があるといっても、社員ごとに一人一人限界を見極めて仕事をさせることは、社員が多ければ多いほど難しいものです。
労働安全衛生法には月100時間を超える残業を行った従業員に対し、産業医への面接指導を受けることが推奨されており、企業には従業員から申し出があった場合、産業医面談を行うよう義務付けられています。

しかしこの「申し出」という定めが難しいもので、100時間を超えるような残業を行っている従業員の場合、仕事を終わらせることに必死で、産業医と面談をする時間を取るより仕事を終わらせることを優先したいと考え、自主的に申し出がなされる件数は大変少なくなってしまいます。

前述の通り、残業時間が100時間を超えていても平気な人もいれば、80時間で疲れ果て、体調を崩す人もいます。同僚が大丈夫だからと言って、本人が大丈夫なことにはなりません。何より大切なことはまず本人が疲労に気付くことです。

家族だからこそ気付きたい 疲労蓄積度チェックリスト。

うちの旦那、忙しくて夜遅くまで残業しているの。そういった話はよく聞くものです。
本人が疲労に気付いていない場合、誰かが指摘して初めて気が付くということもあるでしょう。残業しているのが普通だと見逃してしまうのではなく、一緒に暮らしている家族だからこそ、疲労に気付いてあげることが大切です。

厚生労働省では、平成14年2月に「過重労働による健康障害防止のための総合対策」を策定し(平成18年3月に全面改定)、時間外・休日労働の削減などとともに、一定時間以上の時間外・休日労働を行わせた場合の健康管理措置の徹底について周知を図っています。その一環として作成された家族による労働者の疲労蓄積度チェックリストというものがあります。

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上記の質問に解答し、最近1か月間の疲労・ストレス症状についての合計点が10点以上であれば1。10点未満であれば0。
最近1か月間の働き方と休養についての項目数が3個以上であれば1。10点未満であれば0として計算し、2つの合計点で状況の確認を判断します。
0・・・・・・疲労蓄積度は低いと考えられる
1・・・・・・疲労蓄積度はやや高いと考えられる
2・・・・・・疲労蓄積度は高いと考えられる

また、労働者自身がセルフチェックを行うための疲労度蓄積度チェックリストもあります。
今回ご紹介したチェックリストと合わせて、ぜひご家族の方に受けて頂くことをお勧めいたします。
詳しくは厚労省のサイトをご覧ください。
厚生労働省-労働者の疲労蓄積度チェックリスト

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大沼 泉株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所

投稿者プロフィール

結婚・出産・育児といったライフイベントを乗り越えながら女性がいきいきと働くには、どんな職場環境が望ましいのか。ブラック企業から転職し、産休育休を経た経験をもとに、産業カウンセラー、そして働くママ社員の立場からさまざまな情報をお伝えしてまいります。
【保有資格】産業カウンセラー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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