【基礎編①】産業保健師ってどんな人？～働く人に伝えたい医療現場で感じた健康管理の大切さ～産業保健新聞

皆さんは「産業保健師」という言葉を聞いたことがありますか？
また、産業保健師に実際に会ったことはありますか？
「産業医」は分かるけど、産業保健師は「なじみがない」「聞いたことがない」という方も多いかと思います。
私自身、産業保健業界にいなければ馴染みがなかった言葉だと思います。

なかなか周りに産業保健師がいない方が多いと思いますので、産業保健師ってどんな人で、どんな仕事をしているのか……私の経験を含め、いくつかのシリーズに分けてお伝えしていきたいと思っています。

今回は、多くが看護師を経て産業保健師になっている、ドクタートラスト所属の保健師に聞いた、特に働く人に伝えたいと思っている「医療現場で感じた健康管理の大切さ」を紹介します。

働く人へ伝えたい医療現場で感じた健康管理の大切さ

ドクタートラスト所属の保健師の多くが、大学卒業後に大学病院等で看護師としてキャリアをスタートしています。
看護師経験を通して感じた、働く人にぜひ知ってほしいリアルな声をお伝えできたら、嬉しいです。

【保健師Aさん】
脳神経外科では、生活習慣が原因で脳血管疾患を起こし入院される患者さまを多くみてきました。
そのうち、元気で帰れる方は3人に1人です。
2/3の方は亡くなってしまう、または後遺症が残り、元の生活に戻れない場合が多いです。
皆さん、病気になってから、「お酒を飲みすぎなきゃ良かった、たばこをやめておけば良かった、食事をもっと気にすれば良かった、再検査ちゃんと受けておけば良かった」など、さまざまな後悔の言葉を話されていました。

【保健師Bさん】
大学病院で、手術する前の段階から患者さまに関わっていましたが、患者さまの既往歴（病歴、これまでにかかった病気）の多さに愕然としました。
脂質異常症や高血圧、糖尿病を抱えている人がほとんどで、持病がない方が珍しいくらいでした。

【保健師Cさん】
働く世代の患者さまとも接することが多く、脳梗塞や心筋梗塞の患者さまは生活習慣病をもとに病気を引き起こした方がほとんどでした。

どのメッセージからも、不規則な生活習慣が大きな病気につながっていることが伝わってきますね。
生活習慣病は、自覚症状がほとんど出ないので、痛くも痒くもありません。

しかし身体の中では、加齢とともに大きな病気へ一歩ずつ近づいているかもしれません。
「自覚症状がないのに、どうやって気を付けたら良いの？」と思うかもしれませんが、そのヒントになるのが「健康診断結果」です。
自覚症状には出てきていない、身体の中の状態を確認することができます。
健康診断結果で、引っかかっている項目があれば、今のうちから普段の生活を見直していきましょう。
自覚症状が出ていない、今がチャンスです！

産業保健師として働く人に伝えたいこと

私自身も看護師を経て、産業保健師となりました。
産業保健師になって7年目ですが、産業保健師として数千人を超えるさまざまな業種や世代の働く方たちと面談をしてきました。

こうした経験を踏まえた上で、皆さんに伝えたいことは、働き盛りの世代の人々は仕事やプライベートに多忙ななか「自分自身の健康について考える」機会が後回しになりがちということです。
特に、現時点で身体のどこかが痛いなどの自覚症状が出てないときには、自分自身の健康について振り返ることが難しいと実感しています。

自分自身の健康について考える時間は「自分の未来」や「自分自身をいたわり、大切にする時間」だと考えています。
また、「自分自身の大切な人とのこれからの未来」について考える時間であるともいえます。

1人でも多くの方が「健康を意識することは自分を大切にすること」だと気づき、「自分の健康は自分が守っていく」と普段の何気ない日常生活を振り返るきっかけのひとつになれば嬉しいです。