緊急避妊薬「ノルレボ」、2026年2月から処方箋不要で購入可能に|日本初の市販化で変わること

2025年10月20日、厚生労働省は緊急避妊薬「ノルレボ」の市販化を正式に承認しました。
これにより、2026年2月2日から日本で初めて、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できるようになります。
これまでは産婦人科を受診しなければ入手できなかったため、時間的な制約や心理的な抵抗を感じる人も少なくありませんでした。
しかし、市販化によって身近な場所で迅速に入手できるようになり、望まない妊娠を防ぐための新たな選択肢として大きな注目を集めています。

「ノルレボ」は要指導医薬品に分類されており、購入時には必ず薬剤師による対面での説明と服薬指導を受ける必要があります。
年齢制限は設けられておらず、未成年であっても保護者の同意は不要とされています。
ただし、薬の正しい使用を確保するため、購入後は薬局内で服用することが原則となっています。
この仕組みにより、誤った使い方や不安を抱えたままの服用を防ぐことが期待されています。

緊急避妊薬とは

緊急避妊薬(アフターピル)は、避妊に失敗した場合や避妊を行えなかった場合など、性交後に服用して妊娠を防ぐための薬です。
「ノルレボ」の特徴は以下の通りです。

効果の仕組み:排卵を抑えて受精を防ぐ
服用タイミング:性交後72時間以内(できるだけ早く)
避妊率:早く服用するほど高くなる
副作用:頭痛、腹痛、吐き気、不正出血など
服用後の注意:嘔吐した場合は医師や薬剤師に相談
※他の薬との飲み合わせに注意が必要な場合もあります。

市販化の背景

市販化の主な目的は、緊急避妊薬を必要とする人が、できるだけ早く服用できる環境を整えることにあります。
緊急避妊薬は性交後の経過時間が短いほど効果が高いため、夜間や休日でも薬局で購入できることは大きな意味を持ちます。

これまでは産婦人科を受診する必要があり、診療時間の制約や費用面、また受診すること自体への心理的負担が課題とされてきました。
市販化によって、こうしたハードルが下がり、必要な人が適切なタイミングで利用しやすくなります。
さらに、2023年11月から一部の薬局で試験販売が行われ、プライバシーへの配慮や薬剤師による丁寧な指導体制が一定の評価を得ました。
加えて、世界では約90の国や地域で緊急避妊薬が処方箋なしで販売されていることも、日本での市販化を後押しする要因となりました。

今後の課題

今後の課題として、まず効果と安全性についての正しい理解を広めていくことが重要です。
緊急避妊薬は高い確率で妊娠を防ぐ効果がありますが、必ずしも100%妊娠を防げるわけではありません。
また、服用のタイミングや体調、併用している他の薬によって効果や安全性に影響が出る可能性もあります。
そのため、過度な期待や誤解を避け、正しい情報に基づいて使用してもらうことが求められます。

次に、販売体制の整備も大きな課題です。
現在は、すべての薬局で購入できるわけではなく、薬剤師が個室などで十分な説明を行える店舗に限られています。
この状況では、地域によって利用しにくさが生じる可能性があり、必要とする人が適切なタイミングで相談できないケースも考えられます。

さらに、乱用防止への取り組みも欠かせません。
緊急避妊薬はあくまで緊急時の手段であり、日常的に使用するものではないことを、薬剤師が丁寧に説明する必要があります。
そのうえで、通常の避妊方法の重要性についても理解を促すことが大切です。
加えて、教育や啓発の充実も求められます。
薬剤師に対する継続的な教育を通じて専門知識を高めるとともに、利用者や社会全体に正しい知識を広めていくことで、より安全で適切な利用につながると考えられます。

「ノルレボ」の市販化により、望まない妊娠を防ぐ手段がより身近なものとなり、時間的・心理的・費用的な負担も軽減されると期待されています。
一方で、服用のタイミングや副作用、他の薬との飲み合わせなどについて正しく理解することが不可欠です。
薬剤師の説明と指導を十分に受けながら、緊急避妊薬を正しく、そして責任を持って活用していくことが、今後ますます重要になると考えられます。

オンライン診療での調剤対応薬局と、要指導医薬品として販売可能な薬局・薬剤師の掲載一覧

■ 厚生労働省「オンライン診療に係る緊急避妊薬の調剤が対応可能な薬局及び薬剤師の一覧」
■ 厚生労働省「要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局・店舗販売業の店舗及び薬剤師の一覧」(※本稿執筆時点ではサイト準備中です。流通が開始される際に、対応可能な薬局・店舗販売業の店舗及び薬剤師の一覧が掲載される予定です)

<参考>
厚生労働省「緊急避妊薬のスイッチOTC化について(審査等)」
第一三共ヘルスケア「緊急避妊薬『ノルレボ』スイッチOTC医薬品の製造販売承認取得および販売に関するお知らせ」
第一三共ヘルスケア「日本初のOTC緊急避妊薬『ノルレボ®』を新発売」

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小川 るい株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

総合病院のHCUで看護師として働いていました。病院で患者さまと関わっていく中で、予防的観点から早期に健康のサポートがしたい、働き世代の健康寿命を延ばしたいと志し、ドクタートラストに入社。
日々健康に関する情報を発信していきます。
【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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