みなさん、最近がん検診は受けられましたか?
受けていない方、受けない理由はなんでしょう?
さまざまな理由があるかとは思いますが「受けなきゃいけないのはわかっているけれど、時間がないし、痛くて苦しい検診を受けるのは嫌だし……」という人も多いと思います。
そんな方は、今回ご紹介する血液1滴で13種類ものがんが発見できる最新のがん検診を検討されてはいかがでしょうか。
がん検診、みんなどう考えているの?
まずはみなさんのがん検診に対する認識から見ていきましょう。
内閣府の「がん対策に関する世論調査」(平成28年度)によると、がん検診を2年以上受けていない人は約5割にのぼり、受けていない理由として
・約3割の人が「受ける時間がないから」
・約1割の人が「検査に伴う苦痛に不安があるから」
と回答しています。
確かに、日々忙しく働いている人が多くの種類のがん検診をひとつずつ受けに行くことはなかなか難しいですよね。
また検診の種類によって異なりますが、マンモグラフィーで乳房を挟む乳がん検診、バリウムや内視鏡の挿入を必要とする胃がん検診など、苦痛を感じる人の多い検診があるのも事実です。
そこで時間もかからず、苦痛もほとんどない検診があるとすればどうでしょうか?
それが先ほどもお伝えした血液1滴でがんを発見できる最新のがん検診です。
一度採血をするだけで13種類のがんを発見することができ、なおかつ精度が高い検診であり、テレビ番組でも特集されるなど高い注目を集めています。
なぜ血液だけでがんがわかるの?
どういった仕組みで、血液だけでがんを発見できるのでしょうか。
その鍵を握るのは人の体内に必ず存在する「マイクロRNA」です。
マイクロRNAとは、
血液や唾液、尿などの体液に含まれる22塩基程度の小さなRNAのこと。近年の研究で、がん等の疾患にともなって患者の血液中でその種類や量が変動することが明らかになっています。
さらに、こうした血液中のマイクロRNA量は、抗がん剤の感受性の変化や転移、がんの消失等の病態の変化に相関するため、全く新しい疾患マーカーとして期待されています。引用元:「最先端の次世代がん診断システム開発へ、産学官連携プロジェクト始動」(国立研究開発法人国立がん研究センター)
私たちの体の中にはどんな人でも必ず数百種類のマイクロRNAが存在しています。
マイクロRNAのはたらきについてはこれまであまりわかっていなかったのですが、近年の研究で遺伝子や細胞の働きを変えるはたらきがあると明らかになりました。
このマイクロRNAですが、体内にがん細胞が存在しているとそのがんの種類によってそれぞれ異なる影響を与えられ、量や種類が変わってしまいます。
がん細胞によって変わってしまったマイクロRNAを発見することによって、自分の体内にどんな種類のがんが潜んでいるのかを突き止めることができるというのがこの検診のしくみです。
国立がん研究センターが大学や企業と合同で研究をすすめ、わずかなマイクロRNAの変化を測定できる装置が開発されたことによって、この検診の実現が可能になりました。
しかしながらまだ研究段階であり、実用化は2020年になる見通しです。
意外な生き物を使った検診も実用化⁉︎
また血液での検診以外にも尿で体内のがんの有無がわかる検診も現在研究が進んでいます。
こちらは「線虫」というわずか1ミリほどの大きさでありながら優れた嗅覚をもつ生き物を使った検診です。
線虫はがん患者の尿の匂いを餌の匂いと勘違いすると考えられており、がん患者の尿には群がり、健康な人の尿には群がらないという特性があります。
これにより、採取した尿に線虫が群がるかどうかによってがんであるかを見分けることができます。
体のどこにがんがあるかまでは特定できないことが欠点ですが、かなり初期のがんも発見できる精度の高い検診です。
こちらの検診も2020年の実用化を目指しています。
今すぐ受けられる簡単な検診はないの?
では今すぐに受けられる簡単ながん検診は存在していないのでしょうか。
実はすでに実用化されているものも存在しています。
それは血液中の「腫瘍マーカー」を測定する方法です。
体内にがん細胞があると、そのがんの種類に応じて血液中に特殊な物質が発生します。
この特殊な物質が腫瘍マーカーで、血液検査により腫瘍マーカーが見つかれば、がんである可能性が高いということがわかります。
ただし腫瘍マーカーによる検診の弱点は、その精度の低さにあります。
早期のがんについては発見することが難しかったり、またがんがあるということがわかっても、体のどこにあるかを特定するためには結局従来の苦痛を伴うこともある検診を受けなければならなかったりという欠点もあります。
それでも「時間がない、苦痛な検診は嫌だ……」とまったく何の検診も受けないよりは、こちらの検診だけでも受けていただくことをおすすめします。
腫瘍マーカーによる検診であれば、医療機関で受けられるだけでなく、自宅で指先からわずかな血液を採取して検査業者に送るだけで受けられる簡単なキットも存在しています。
忙しいみなさんには従来のがん検診に加えて補助的に使っていっていただきたいです。
参考:平成28年度「がん対策に関する世論調査」(内閣府)