2日目のカレーは美味しいけれど…
大人にも子どもにも人気のあるカレーライス。
特に一晩寝かせたカレーは美味しいという声も聞きますが、実はカレーは食中毒を起こしやすい食べ物だということをご存知ですか?
まだまだ寒いから大丈夫と油断しがちですが、少しずつ気温も上がり、食中毒の原因菌が繁殖しやすい季節が近づいています。
今回は、食中毒を予防するカレーの食べ方についてわかりやすくご紹介します。
加熱では死滅しないウェルシュ菌
食中毒を起こす原因菌のひとつに「ウェルシュ菌」という菌があります。
ウェルシュ菌は特別な菌ではなく、自然界のさまざまなところに生息しているごくありふれた菌です。
少量体内に摂取してしまったとしても問題ない場合が多いのですが、カレーにはウェルシュ菌が繁殖しやすい条件が整っており、繁殖した菌を多量に摂取することで、下痢や腹痛、嘔吐などの辛い症状を引き起こすことがあります。
① 空気を嫌う性質がある
ウェルシュ菌は「嫌気性菌」といって、空気に触れないところで良く繁殖する性質があります。
つまりカレー鍋の中のように空気に触れにくいところは、ウェルシュ菌にとって非常に繁殖しやすい場所と言えます。
② 加熱しても死滅しない
2日目に食べる時もきちんと加熱するから大丈夫と思いがちですが、ウェルシュ菌は熱に強く、一定の温度を超えると「芽胞」を形成して殻に閉じこもって自分を守り生き続けます。
芽胞を形成してしまうと、たとえ100℃で加熱しても死滅しません。
芽胞の状態で繁殖することはありませんが、温度が下がってくると再び活動を始めて増殖することができるため、たとえ食べる直前に再加熱したとしても、食べる時にはすでに菌が繁殖した状態になってしまうのです。
繁殖させないことが大切
上記のように一旦繁殖してしまったウェルシュ菌は簡単に死滅させることができません。
ウェルシュ菌による食中毒を防ぐためには、「繁殖させないようにする」ことが最も重要です。
菌が繁殖する温度は10℃〜60℃、最も繁殖しやすい温度は45℃前後です。
つまり10℃以下、60℃以上になると繁殖を抑えることができます。
カレーはできればその日のうちに食べきってしまうのがベストですが、食べ切らずに保存する場合は以下のことに注意しましょう。
常温で保存しない
翌朝すぐ食べるから大丈夫と侮らず、数時間であっても冷蔵庫内に保存する、もしくは鍋の温度が60℃以上になるように弱火で加熱し続けるようにしましょう。
まとめて作って保存したい場合は、作ってからなるべく早く冷凍保存用の容器や袋に移して冷凍保存するようにします。
小分けにして保存する
ウェルシュ菌は空気を嫌うので、大きなカレー鍋のまま保存するよりも小分けにして保存するほうが空気に触れる面積が増えて効果的です。
よくかき混ぜる
ウェルシュ菌は空気に触れることを嫌います。
加熱する際は鍋底のほうから空気を入れるようにしっかり混ぜるようにし、なるべく空気に触れさせるようにしましょう。
カレーだけでなくシチューも同じようにウェルシュ菌が繁殖しやすい食べ物です。
加熱して食べる食品だからと侮らず、十分に気をつけて食べるようにしてくださいね。