風しん、流行しています!

2018年9月現在、国内で風しん患者が増加しています。
「自分は関係ない」と思った方はいませんか?
風しんは子どもの病気と思われがちですが、実は子どもよりも成人の間で流行が広がっています。
感染力が強い一方で、十分に予防接種を受けていない世代の方もいるため、決して他人事ではありません!

7月以降、首都圏を中心に急増

国立感染症研究所感染症疫学センターの報告によると、2018年8月19日までの報告数は、すでに2016年、2017年の年間報告数を上回っており、特に7月から急増傾向になっています。
なかでも、千葉県、東京都からの報告が多く、埼玉県、神奈川県をあわせると、全体の70%がこの4都県からの報告でした。
また、報告患者の9割以上が成人で、男性が女性の約3.5倍多かったそうです。

風しんとは

風しんは風疹ウイルスによる感染症です。
通常、2~3週間(平均16~18日)の潜伏期間の後、発熱、発しん、リンパ節の腫れなどの症状が出ます。
症状は軽いものがほとんどですが、まれに、関節炎や血小板減少性紫斑病、急性脳炎などの合併症を起こすことがあります。

妊娠初期に感染すると、胎児への影響の可能性が

特に成人で発症した場合、高熱や発しんが長く続いたり、関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。
一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。

また、免疫のない女性が妊娠初期に感染すると、風しんウイルスが胎児に感染して、出生児の目や耳、心臓などに障がいが生じる可能性があります(先天性風しん症候群)。
先天性風しん症候群自体の治療法はなく、妊娠・出産を考えている女性やパートナー、周りの方は特に注意が必要です。

症状がなくても他人にうつすリスクがある

風しんは感染力が強く、1人の患者から免疫がない5~7人に感染させる可能性があります(インフルエンザでは1~2人)。
また、潜伏期間は2~3週間ですが、感染しても明らかな症状がないまま免疫ができてしまう人が15~30%程度いるといわれています。
その場合でも、ウイルスを排出しているため、周囲の人に風疹ウイルスをうつしてしまう可能性があります。
成人での感染は特に男性の場合には職場内の場合も多くあるため、職場全体として感染対策を考えることも必要です。

ワクチンの接種状況や抗体の確認を!

風しんは予防接種で防げます。
現在は麻しん風しん混合(MR)ワクチンを、1歳と小学校入学前1年間の幼児(6歳になる年度)は定期接種として無料で接種することができます。
しかし、それ以前には、予防接種を十分に受けていない可能性があるため、注意が必要です。
2017年度の感染症流行予測調査によると、30代後半から50代の男性の5人に1人は風疹の免疫を持っていませんでした。

ワクチン接種、受けていますか?

ワクチンの接種については、年代によって受ける機会が異なっています。
下表をご参考にしてください!

生年月日などワクチン接種の状況
昭和37年4月1日以前生まれの男女定期接種が行われていませんでしたが、大半の人が自然に風しんに感染することで免疫があります。
昭和37年4月2日~
昭和54年4月1日以前生まれの男性
中学生の時に女性のみを対象として、学校で集団接種が行われていたため、自然に風しんに感染する機会が減少しましたが、男性は定期接種制度が行われていないので、風しんの免疫がない人が多い世代です。
昭和54年4月2日~
昭和62年10月1日生まれの男女
男女とも中学生の時に予防接種を受ける対象になっていましたが、中学生のときに個別に医療機関で予防接種を受ける制度であったため、接種率が低く、風しんの免疫がない人が多い世代です。
昭和62年10月2日~
平成2年4月1日生まれの男女
男女とも幼児のときに予防接種を受ける対象となり接種率は比較的高いのですが、自然に風しんに感染する機会がさらに減少したため、接種を受けていない人には風しんの免疫がない人が比較的多い世代です。

出所:「なぜ大切? 風しんワクチン」(厚生労働省)

妊娠中はワクチン接種を受けられません

妊婦への感染はパートナーによるものも多くあります。
自分自身が感染しないためにも、パートナーに感染させないためにも、まずはワクチンの接種状況を確認することが必要です。
また、今後妊娠を希望する女性などを対象に風しんの抗体検査を無料で行っている自治体もあります。
検査を受けて抗体が低い場合には、ワクチン接種が必要です。
特に妊娠中は予防接種を受けることができませんので注意してください。

今後も流行が予測されますので、今一度予防接種状況を確認し、適切な対応をとりましょう!

<参考>
・ 「首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018年8月22日現在」(国立感染症研究所感染症疫学センター)
・ 「風疹抗体保有状況2017」(国立感染症研究所)

合わせてご一読ください!

・ 「風疹になったら出勤停止?」(産業保健新聞)
・ 「予防接種の歴史からみる風しん」(産業保健新聞)

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