40歳以下の会社員、「健康な人」って何割?

健康保険組合連合会(健保連)の調査で、健康診断結果が「合格」だった40歳以上の会社員は、17%と2割にも満たないことがわかりました。
この調査は、40歳~75歳の会社員約270万4234人に対して【血圧・血糖・脂質・肝機能】の4項目について実施されたものです。
この調査結果では、健康診断で「異常なし」だった社員は5人に1人以下で、残りの8割は「再検査・精密検査・受診」などを指示されていたということになります。

最も多いのは「脂質」の異常

血圧・血糖・脂質・肝機能という検査項目のうち、最も異常値が出やすいのが脂質です。
脂質異常の原因は、食生活の乱れや運動不足、喫煙、ストレスなど様々です。
特に注意が必要なのは遺伝的に脂質が高い人で、若年性心筋梗塞の可能性が非常に高くなるので注意が必要です。
※遺伝性かどうかは定期健康診断ではわかりません。必ず医療機関での精密検査が必要となります。

小さな異常が大きな病気に繋がる

「ずっと健診結果が悪いけれど、体調も良いし、受診するのは面倒だ」と仰る方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、自覚症状がないからと言って、受診をしなくて良いということにはなりません。

心筋梗塞になった人の、入社時から発症時までの健康診断結果を調査・比較した研究結果が発表されています。
それによると、
・入社時から体重増加が続き、肥満傾向にある
・血圧、脂質、血糖の異常値が毎年続いている
・特に血糖(HbA1c)の異常値が続いている

・・・といった場合、明らかにそうでないグループに対して、心筋梗塞を発症する確率が明らかに高かったということです。
(産業衛生学会誌48巻,2006 心筋梗塞発症者と未発症者の健診成績の比較より)

企業ができること・個人ができること

働く世代の健康を守るためには、企業と個人双方の積極的な取り組みが必要です。

■企業ができること
・時間外労働の削減
・定期健康診断の実施100%達成
・健康診断後の事後措置(受診勧奨など)の徹底
まずは定期健診の受診率を高めることが大前提ですので、業務時間内に健診を受けられるようにしたり、上司が部下の受診を積極的に薦めることが重要です。
最近では、部下の健診受診率が、上司の評価の対象となる企業も出てきています。

■個人ができること
・毎年、定期健康診断を欠かさず受ける
・「要再検査」「要受診」などの指示を守る
・健診前に無理な『制限』を行わず、いつもの状態で受診をする
異常値を出さないために、健診前にその場しのぎの減量をする方もいらっしゃいます。
もちろん減量の取組自体は大切なことなのですが、却って普段の不摂生を見逃してしまうことにつながる可能性もあるため、できるだけ普段の状態で健診を受けましょう。

健康診断の結果を見る上で大切なのは、経年変化です。
食事・運動などの生活習慣を変えない以上、年齢が上がるたびに、健診結果は悪化していきます。
健診で異常値=不健康とは言い切れませんが、健康にシフトしているのか、不健康に向かってシフトしているのか、健診結果が届いたら、昨年・一昨年の結果とよく見比べてみてください。

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中村 眞弓株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

企業での健康相談や産業保健の経験を生かし、「じっくり聴く・しっかり考える」保健師を目指しています。社員の皆様・人事の皆様と一緒になって企業の健康を支えていけるよう頑張ります。
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