だんだん春らしくなってきていますね。
この時期になると、花粉症による鼻炎などに苦しむ方も少なくないのではないでしょうか。
今年の花粉の飛散量は例年と比較すると、例年並みかやや多いところが多くなる見通しだそうです。
さて、この花粉が飛散するシーズンと同じ頃に空気中に1年のうちで最も多く観測されるものがあることをご存知でしょうか。
それは今回のテーマである「黄砂」です。
黄砂とは
黄砂は、中国のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠などで、風が吹くことにより巻き上げられた土や鉱物粒子が偏西風に乗って、花粉が飛散するのと同じ2月~4月をピークとして日本列島へやってくるものです。
最近では、環境庁から黄砂の飛来予報が出されるようになるなど、話題に上がることが多くなってはきました。
しかし、実は最近始まった現象ではありません。
昔の中国の気象記録や医学書にも黄砂による被害が書かれているほど、昔からの現象なのです。
では、なぜ最近注目されるようになってきたのか。
それは、頻度の上昇と被害の増加にあります。
黄砂による被害
本来、黄砂自体は有害物質ではありません。
しかし、黄砂は非常に長い距離を飛んでくるため、その間にアンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの大気汚染物質を取り込んできてしまうといわれています。
そのため、それにより環境への大気汚染や飛行機の運行障害・自動車、洗濯物の汚染のみではなく健康にも被害をもたらします。
黄砂が飛来する国で様々な研究が行われていますが、虚血性心疾患や脳血管疾患、慢性閉そく性肺疾患性肺疾患による救急受診数や肺炎による入院数の増加、目や鼻、肌の自覚症状悪化を訴える人が増加・気管支喘息や慢性咳患者の症状悪化が報告されています。
これらの報告から、最近では黄砂成分にアレルギー反応を高める作用があることが示唆されています。つまり、花粉症と同じ時期にやってくる黄砂が、花粉症のアレルギー症状をより強めてしまう可能性があると考えられているのです。
花粉症の方にとってこれほど厄介なことはありません。
黄砂による健康被害を予防するには
黄砂対策をするには、まず、黄砂がどれくらい飛来しているのかを知る必要があります。
情報源としては、以下がおすすめです。
・ 環境省「黄砂飛来情報」: http://www2.env.go.jp/dss/kosa/
・ 気象庁「黄砂情報(予測図)」 :https://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/
また、空がかすみがかっている日は、黄砂が多く飛んでいる可能性が高いので注意してください。
黄砂が多い日には、アレルギー疾患を抱えている方は、特に注意が必要です。
これらの対策が有効だといわれています。
〇 外出を控える
〇 外出時にはマスク・メガネ着用
※黄砂は非常に小さいため、骨格にあったマスクを選びましょう。医療用のサージカルマスクの使用がより有効です。
〇 外出先から帰ったらうがい・手洗い・シャワーを浴びて黄砂を身体から落とす
〇 外での運動を避ける
〇 出来るだけ窓を開けない
〇 洗濯物は部屋干し
〇 空気清浄機の使用
※黄砂による健康被害予防には花粉症対策が代用できます。
これからの時期、アレルギー疾患を抱えている方は症状をひどくしないためにも、黄砂情報にも注意・対策をしていきましょう。