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日本とノルウェーの違いを徹底比較!~労働基準法の観点から~
- 2019/3/7
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こんにちは、堀川です。
今回は、お久しぶりな北欧、それも私の得意とするノルウェーに関連したお話です。
早速ですが、読者のなかで他国の「労働基準法」を見たことがある人はどのくらいいますか?
私は働き始めてから、日本の労働基準法については多少関心を持ちましたが、他国についてはほぼ無関心でした。
しかし、北欧は別です!
2019年4月に働き方改革法が施行されるのに伴い、労働環境や労働基準が注目を集めている今、日本と北欧(今回はノルウェー)の労働基準法を徹底比較してみます。
もしかしたら、そこに「労働生産性の高さ」の秘訣があるかもしれませんよ。
日本とノルウェーの違い~労働時間編~
まずは、下記図でそれぞれの国の法律で定められている労働時間を確認してみましょう。
1日の労働時間 | 1週間の労働時間 | |
---|---|---|
日 本 | 8時間以内 | 40時間以内 |
ノルウェー | 9時間以内 | 40時間以内 |
<参考>
日本:労働基準法第32条
ノルウェー:「Working hours」(Arbeidstilsynet、ノルウェーの労働基準監督署)
この図をみて皆さんは何を感じましたか?
私はまず「1日の労働時間は日本よりノルウェーのほうが長いんだ!」と少し驚きました。
しかし、1週間の労働時間で見ると時間は同じですね。
ここで1つ補足しますと、上記のように定められてはいますが、7~7.5時間労働/日、33.6~37.5時間/週が、ノルウェーの現地慣習です。
つまり法律の定めは、「1日9時間以内(週40時間以内)ならどう働いてもいいよ」ということを意味します。
日本は(あくまで個人的な主観ですが)「法律で8時間といわれているなら1日8時間働くんだ!」という流れを感じますが、ノルウェーは9時間に設定することで、個々人、会社にあわせた多様な働き方を促しているのかも、と感じました。
さすが、ワーク・ライフ・バランス先進国ですね。
日本とノルウェーの違い~残業時間編~
お次は、残業時間についてです。
こちらも図にしましたので、下記を確認してください。
賃金割増率 | 1週間の残業上限 | 4週間の残業上限 | 52週間(1年間)の残業上限 | |
---|---|---|---|---|
日 本 | 25% | 15時間 | 43時間 | 360時間 |
ノルウェー | 40% | 10時間 | 25時間 | 200時間 |
<参考>
日本:労働基準法第36条
ノルウェー:「Over time」(Arbeidstilsynet、ノルウェーの労働基準監督署)
みなさんどう感じましたか。
私は、上限時間の差にびっくりしました。
(賃金割増率の差に関しては、ノルウェー(北欧諸国全般ですが)は物価や税率が高い分、収入も多いことを知っていたのであまり驚きませんでした)
1週間の残業上限の段階で、日本はノルウェーの1.5倍の時間が設定されています。
52週間(1年)になるとその差は1.8倍にまでなります。
圧倒的に日本より人口が少ないノルウェーのほうが、残業が多く発生しそうなものなのに、法律で定められている残業上限時間は日本より圧倒的に短いのです。
これは蛇足にはありますが、日本には「過労死ライン 80時間」というものがありますね。
ノルウェーには「過労死ライン」なんてものはありません。
働く時間への意識の差が、労働時間の差、生産性の差になっているのではと考えてやみません。
生産性と時間については過去に何度かご紹介していますので、参考にしてください。
日本をより働きやすい国へ
ここまで、つらつらと書いてきましたが、別に日本の法律や制度を否定しているわけではありません。
各国のいいところを取り入れて、もっと働きやすい国にしようと考えてご紹介しました。
ノルウェーで働き方が多様化しているのは、人口が少なく(日本の約25分の1)、国民全員が労働力であると国が考え、より良い労働環境にしようと法が定められているからなのかも、と本記事を書いていて強く感じました。
超高齢社会の日本も今度、労働力の低下は避けられないでしょう。
今回は法律で比較・ご紹介をしましたが、会社単位でできることもあるはずです。
働き方改革が注目されている今こそ、ワーク・ライフ・バランスを目指し、会社にあった働き方を模索していてはいかがでしょうか。
<参考>
・ 労働基準(厚生労働省)
・ Arbeidstilsynet ※ノルウェー語、英語のサイトです