ダイバーシティ&インクルージョンとは?企業の取り組み実態について

公益財団法人 21世紀職業財団から2022年度のダイバーシティ&インクルージョン推進状況の調査結果が発表されました。
この調査結果は2018年に開始し、2年に1回毎に調査報告をしています。

第1回目となる2018年の調査では、女性だけを対象に実施し、続く2020実施の調査では対象者に男性を追加しました。
そして、第3回目となる今回の調査報告では、11業種、従業員101人以上企業に勤務している20~59歳の男女正社員(管理職以外の一般社員)を対象としています。
有効回答数は男性2,250名、女性2,250名、合計4,500名になります。

今回は、この調査結果から分かるポイントを解説します。

ダイバーシティ&インクルージョンとは?

調査結果を確認する前にそもそもダイバーシティ&インクルージョンとは何か?を知っておく必要があります。

各言葉を直訳すると「ダイバーシティ」は「多様性」、「インクルージョン」は「包含、包み込む」などの意味になりますが、この2つの言葉が合わさったダイバーシティ&インクルージョンをビジネスシーンに置き換えますと、「多種多様な人材を理解し受け入れ、そして活かす取り組み」を指します。

2022年の調査結果から新たに判明したポイントについて

最新の調査結果では、新たに追加した設問によって判明した13個のポイントがあります。
その中でも今回は、ダイバーシティとインクルージョンについての設問7つについて掘り下げてみたいと思います。

【ダイバーシティの推進状況について】

ダイバーシティに関する設問は以下になります。

① 女性の出産後における就業について
「あなたの職場では、女性は出産しても働き続けるのが当然という雰囲気がありますか。」という設問です。
2020年と比べて「ある」「どちらかと言えばある」と回答した人は、以下の通りです。

・男性全体(2020年)57%
・男性全体(2022年)67.7%
—-
・女性全体(2020年)71.4%
・女性全体(2022年)77.2%

突出すべき点は、男性のポイントが10%以上アップしていることです。
この2年間で男性の視点でも「女性が出産後そのまま退職せずに働ける職場になった」という意味にも捉えられます。
また、男性の視点からも興味・関心が高まっている証拠でしょう。

2020年と比べて「出産しても働き続けるのが当然という雰囲気」が高まったということは、 職場における出産後の就業環境が改善しているということにもつながってきます。
それだけ働き方の多様性が認められる社会になったということでもあるので、ダイバーシティ化は年を追うごとに進んでいると言えます。
この流れは今後も加速していくのではないでしょうか。

【インクルージョンの推進状況について】

インクルージョンに関する設問は以下になります。

② 仕事に対する男性の割合について
「あなたの職場では、重要な仕事は男性と女性どちらが担当することが多いとおもいますか。」という設問です。
こちらの設問については、企業規模が関係しています。
特に301人以上の企業において重要な仕事は男性が担当することが多いと思う割合が増えています。

・301人以上企業の女性(2020年)60.3%
・301人以上企業の女性(2022年)62.3%
—-
・301人以上企業の男性(2020年)47.2%
・301人以上企業の男性(2022年)52.9%

③ 職場の昇格・昇進に対する性別の差について
「あなたの職場では、昇格・昇進において性別による差があると思いますか。」という設問です。
こちらの設問は、301人以上企業の女性から回答を得ています。

・301人以上企業の女性(2020年)61.9%
・301人以上企業の女性(2022年)61.1%
—-
・301人以上企業の総合職女性(2020年)59.8%
・301人以上企業の総合職女性(2022年)58.6%

女性の約6割が男性のほうが昇格・昇進しやすいと感じており、これは2020年と比べてもほとんど変化はない状況となっています。

④ 男女別による管理職になる可能性について
「あなたは管理職になる可能性があると思いますか。可能性がない場合には、最も大きな理由を1つ選んでください。」という設問です。
20代、30代、40代、50代の男女が回答し、どの年代でも男性より女性のほうが低い結果となっています。

特に20代~40代の女性では、可能性がない理由として、「自分の職種やコースには前例がないので可能性がないと思う」をあげている人の割合が最も高い結果となっています。
また、「育児や介護などをしている場合は管理職になっている前例がない」と回答している人も一定数いる状況です。

⑤ 仕事上で能力が大きく伸びるような経験をしたかについて
企業規模別に「一皮むける経験をしたことがない人」の割合をみてみますと、すべてにおいて女性は男性よりも仕事上で能力が伸びるような経験をしたことがない人の割合が高くなっています。

因みに、その経験とは以下のような経験になります。

・「入社3~5年目の異動」
・「部門を横断するような大きな異動」
・「プロジェクトチームへの参画」
・「問題のある部門での大きな業務の改善や再構築」
・「昇進・ 昇格による権限の拡大」
・「新規事業・新市場・新分野のゼロからの立ち上げ」
・「海外勤務」

⑥ 企業規模によるキャリア面談の実施について
今後のキャリアについて話し合うキャリア面談ですが、企業規模が小さいほど実施の割合が低い結果がでています。
また、100名~300名ほどの企業規模でも10,001名以上の企業規模でも女性のほうがキャリア面談を受ける割合が高い結果がでています。

⑦ 出産後のキャリアアップについて
「キャリアの展望についてご回答ください」という設問です。
子供のいる人が昇格・昇進に加え、仕事の幅を広げたり、仕事のレベルを上げたりするようなキャリアアップについて回答しています。

20代~50代の男女別でキャリア展望について比較すると、どの年代も女性のほうが低くなっており、特に30代では男女差で18.5ポイントとなっています。

参照:キャリアの展望がある、どちらかと言えばキャリアの展望があると回答した結果
30代 男性:68.9%
30代 女性:50.4%

まとめ

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み実態について、職場で個性や多様性を大切にしていると感じる割合は、男女合わせても今だ42.4%にすぎない状況となっています。
まだまだダイバーシティ化が浸透しているとは言い難い状況ではあります。
今後、どのように数値が変化していくのか、数値の変化を追っていく必要があると言えます。

<参考>
・ 公益財団法人 21世紀職業財団「【3回目 状況調査】男女正社員対象 ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査(2022)」
・ 公益財団法人 21世紀職業財団「男女正社員対象 ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査結果(2022)」

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白惟 ようすけ株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

15年以上にわたり、広告代理店を数社渡り歩きながら、数百社にわたるクライアント様のWebサイト改善に携わってきました。今度は、代理店の立場から自社サイトの運用・改善になりますので、業界知識はもちろんのこと、常に新しい施策を盛り込みながら貢献していきたいと思います。
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