厚生労働省公表!年代別「こころの健康状態」と「健康意識」についての意識調査結果

2024年8月27日に厚生労働省から「令和5年度 少子高齢社会等調査検討事業」の報告書(以下、本調査結果)が公表されました。
本調査結果は、こころと身体の健康状態や、こころの不調を身近に感じる程度などについて意識調査を行い、結果をとりまとめたものです。
会社や家庭など実にさまざまなストレスから「こころの不調」を抱える人が増加傾向にあり、今後訪れる少子高齢化社会においては、年代問わず誰もが「こころ」の状態を健全に保つことが大切です。
そのためには「こころの不調」が誰しも起こりえることであるという意識や認識を持つことがまずは必要です。

今回は、本調査結果をわかりやすく解説します。
なお、本調査結果における言葉の定義は下記のようになります。

■こころの不調:「うつ病」といった病名が診断されている状態の他、ストレスや不安感から来る心身の不調を含む
■身体の病気:具体的に「がん」を想定

こころと身体に対する意識調査結果(総合)

本調査結果で、20歳から89歳までを対象とした総合的な健康状態をみると、80%以上が「健康」と回答していました。
また、年代別にみると20代が最も「健康」と回答した割合が高い調査結果になっています。
健康の内訳は、「病気がないこと」「美味しく飲食できること」「ぐっすり眠れること」「身体が丈夫なこと」「不安や悩みがないこと」が上位に挙げられ、2014年の調査とくらべてみると、「ぐっすり眠れること」が1割以上増加していました。

対して、健康状態にリスクとなる項目を見ると、「生活習慣病を引き起こす生活習慣」、次いで「精神病を引き起こすようなストレス」、「加齢や遺伝」の順になっています。
2004年、2014年の同調査とくらべると「生活習慣病を引き起こす生活習慣」は減少傾向にあり、一方で「精神病を引き起こすようなストレス」が増加傾向となっています。
本調査結果からもわかるように、メンタルヘルスの問題は日本全体の問題になっているといえます。

健康状態にリスクとなる項目
厚生労働省「令和5年度少子高齢社会等調査検討事業報告書」

こころの健康状態に対する意識調査結果

50代以上が特に良好

こころの健康状態については健康に分類される「よい」「まあよい」「ふつう」の合算値は80.8%を越えていました。
年代別に高い順に見てみると、70代以上、60代、50代となっています。
対して、30代、40代は健康と答えたのは7割にとどまっています。

こころの不安になっている原因について最も高かったのが「体力の衰え」、次いで「経済的な問題」「仕事上の人間関係」となっています。
年代別に見てみると「経済的な問題」は全年代で主な不安感の原因として挙げられています。
各年代別の最多要因では、20代~30代が「仕事上の人間関係」、40代が「経済的な問題」、50代~70代以上が「体力の衰え」となっています。

年代別「こころの不安」の原因
厚生労働省「令和5年度少子高齢社会等調査検討事業報告書」

そして、職場や学校、家など周囲の人間関係から受けるこころの健康への影響をみると、よい影響を与えている数値は「同居の家族」が最も高い数値になりました。
年代が上がるにつれて数値も高くなっています。

「こころ」と「身体」の違いは、家族への相談

「こころの不調」と「身体の病気」の健康意識の違いについて見てみると、大きな違いは「こころの不調」が「身体の病気」とくらべて「家族に相談すると思う」割合が低いことです。
改めて「こころの不調」を身近な方に相談することをしない、難しいといった現実が浮き彫りになっています。
そして、「こころの不調」を自覚した場合、定期的に通院すると回答した割合が「身体の病気」とくらべて低くなり、身近な方への相談と同じく、通院へのハードルの高さもうかがえる結果となっています。

また、「こころの不調」は20代、30代など若い世代ほど身近に感じている割合が高く、「身近に感じる」「どちらかといえば身近に感じる」の合算は7割以上にも及びます。
一方で、70代以上では「身近に感じる」は3割未満にとどまり、若い世代との認識に大きな差が生まれている結果となっています。

身近に感じる理由について年代別にみると、第1位は、20代のみ「自分が経験している・経験したことがあるから」になり、そのほかの年代では「自分もなる可能性があると思うから」でした。

年代別「こころの不調」を身近に感じる理由
厚生労働省「令和5年度少子高齢社会等調査検討事業報告書」

「こころの不調」への理解促進のための施策や支援体制が大切!

誰もが「こころの不調」になりうることについて、社会全体で理解を深める必要があります。
理解を深める必要な施策として、本調査結果では「こころの不調が特別な病気ではないことに関する周知・啓発」が最も多く、次いで「こころの不調を感じたときの相談窓口の認知度の向上・更なる設置」、そして「こころの不調を予防するために自分でできる取組の紹介・普及」となっています。

今回の調査結果にもあるように身体の病気については通院することが普通であると思いますが、「こころの不調」となると相談をためらったり、通院をするといったことがまだまだ浸透していないと感じます。
相談窓口については厚生労働省の「まもろうよこころ」で気軽に悩みを相談することができます。

<参考>
厚生労働省「令和5年度少子高齢社会等調査検討事業報告書」

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白惟 ようすけ株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

15年以上にわたり、広告代理店を数社渡り歩きながら、数百社にわたるクライアント様のWebサイト改善に携わってきました。今度は、代理店の立場から自社サイトの運用・改善になりますので、業界知識はもちろんのこと、常に新しい施策を盛り込みながら貢献していきたいと思います。
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